厳しい無線仕様でも手厚いサポートでクリア、マイクロストーン株式会社様のBluetoothモジュール導入事例

こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。
今回はLINBLE-Z1をご採用いただいたマイクロストーン株式会社様の導入事例インタビューをお届けしたいと思います。
人の動作や機械の振動を高精度に計測できる『小型無線モーションレコーダー』のBluetooth化をご担当されたマイクロストーン株式会社 代表取締役社長の白鳥 敬日瑚氏、部長の野澤 秀隆氏に、LINBLE-Z1導入までの経緯や本製品の開発秘話を伺いました。
*写真左からマイクロストーン株式会社 部長野澤氏、代表取締役 白鳥氏
マイクロストーン株式会社とは?

マイクロストーン株式会社は、長野県佐久市に本社を構えるセンサーメーカーです。人の動作や機械の振動を高精度に計測する無線モーションセンサーを開発・製造・販売しており、医療・リハビリ・スポーツ分野での動作解析や、製造現場における設備の予知保全などに活用されています。センサーデバイスから解析ソフトウェア、応用システムまで自社で一貫開発しており、用途や環境に応じた柔軟なカスタマイズ対応が可能です。
LINBLE-Z1を搭載した『小型無線モーションレコーダー』とは?

マイクロストーン株式会社 代表取締役社長
-- 今回LINBLE-Z1を搭載してBluetooth化を実現した貴社製品について教えてください。
白鳥氏)
今日ご紹介する『小型無線モーションレコーダー』は振動センシングデバイスです。今では大きく二つの分野で利用されています。一つは製造設備の異常検知、もう一つは医療・リハビリ・スポーツ分野での動作解析用途です。それぞれの分野向けに最適化はしていますが、基本設計は同じです。
元々、新卒から20年ほど勤めた大手精密機器メーカーでセンサー事業に携わっていましたが、会社の方針でセンサー事業から撤退することが決まり、センサー技術で世界に貢献したいという思いから独立起業したのがマイクロストーンです。ジャイロに加えて、三軸の加速度センサーをワンデバイス化(一つのデバイスに結集)して『モーションセンサデバイス』を作るというコンセプトを考えました。そして最終的には、お客様にデバイスとアプリケーションを組み合わせてご利用いただけるようなシステム化をしていきたいという発想から、現在の事業の骨子が生まれました。
2005年に開発した初期の製品は、CPUとセンサーをチョコレート箱くらいのサイズに収め、ボタン電池で駆動させる小型のデータロガーでした。ただ、データ転送時にはパソコンと有線で繋がなくてはならない不便さがありました。大手電機メーカーのお客様から「カンタンにデータを取り込みたい」というご要望をいただいていたこともあり、無線機能搭載を検討し始めたのがBluetooth化のキッカケでした。そして2009年頃に正式リリースしたのが8チャンネルのジャイロセンサーが内蔵された小型無線モーションレコーダーです。
現在は製造業の設備保全向けに、小型モーションレコーダーが検出した振動データを無線でPCに自動収集し、AI解析により故障の兆候を捉えるモニタリングシステムを開発しました。『おまわりさん 』という製品です。

医療・リハビリ・スポーツ分野での動作解析事業については、一般社団法人を二法人立ち上げ、全国の小中学校の生徒・児童に対する歩行ケアに取り組んでいます。そこで弊社の転倒リスク歩行診断システム『THE WALKING🄬 』や小型無線モーションレコーダーが活躍しています。

LINBLE-Z1採用の決め手は互換性と技術サポート

マイクロストーン株式会社 部長
-- LINBLE-Z1を検討されたキッカケや採用の決め手を教えてください。
野澤氏)
元々、弊社ではBluetooth通信を使って『センサーで高速サンプリングしたデータを全てパソコンに送信したい』しかも『ある程度の通信距離を飛ばしたい』といった特殊で、かつ、非常に厳しい仕様がありました。
ーー 御社を担当していた弊社の清水から、御社のご要望にお応えするのは大変だったと聞きました(笑)。
野澤氏)
(笑)。
当初は無線化.comのSPPモジュール『ZEALシリーズ(注)』を利用していましたが、ZEALシリーズが終息することになりました。そこで、現行のお客様の満足度を損なうことなく、早期にスムーズな切り替えを最優先にするためにLINBLE-Z1を検討することを考えました。
注)ZEALシリーズはLINBLEシリーズの前身となったエイディシーテクノロジー社のBluetoothモジュール。LINBLE-Z1およびLINBLE-Z2と互換性あり。
実際にLINBLE-Z1を試してみたのですが、従来基板に載せ替えるだけで難なく一通りの動作が確認でき、切り替えの感触をつかむことができました。やはりピンコンパチで互換性が担保されていたことや、技術サポートがしっかりしている点が大きかったです。ソフト側・ハード側関係なく、様々なお問い合わせに対しても丁寧に対応していただけるのが一番の決め手となり、LINBLE-Z1を採用することに決めました。海外メーカー品で「安いから」というメリットだけでBluetoothモジュールを採用しがちですが、肝心の技術サポートが受けられないなどのデメリットも考えると、国内メーカーから手厚くサポートしていただけるのは非常に有難いことだと感じています。

-- ムセンコネクトの新製品開発・サービスに対して、ご意見やご要望はありますか?
野澤氏)
今後海外向けにも製品販売していく構想があるのですが、ムセンコネクトさんでは海外における無線認証のサポートも手掛けられているとのことだったので、実際に進めていく際にはぜひご相談させていただきたいなと思っています。
大変だけれど、幸せ

-- 最後に貴社の事業、製品について今後の展望を教えてください。
白鳥氏)
一般社団法人レインボー・ウォーキングでは、全国の子どもたちが正しい歩き方や身体の使い方を学び、実践するための「歩行ケア」の機会を提供しています。Jリーグ元チェアマンの村井さんが理事長を務め、理事には佐久市の柳田市長や、シドニーオリンピック金メダリストの高橋尚子さんなど、各界で活躍されている方々が参加しています。現在は長野県を中心に活動していますが、最近では東京、埼玉、岐阜、愛知、三重と、少しずつ取り組みが広がってきています。
産学官問わず、多くの方々にご協力いただいていることは本当にありがたく、活動が広がればその分忙しさも増していますが、それ以上にやりがいや喜びを感じています。私たちだけの力では小さな取り組みかもしれませんが、関わってくださる皆さまのお力をお借りしながら、活動の輪をさらに広げて、社会に貢献していきたいと考えています。
インタビューを終えて
インタビューの最後には、実際に転倒リスク歩行健診システム『THE WALKING🄬』を体験させていただきました。つい先ほどまでセンサーデバイスの開発についてお話を伺っていた方が、今度は健診システムの画面を見ながら、まるで理学療法士のように丁寧でわかりやすい解説をしてくださったのが印象的でした。

「作って終わり」ではなく、「作ったものの価値をどう伝えるか」にも真摯に向き合う姿勢に、深く感動しました。自社製品を心から大切にし、熱意をもって伝えるその姿に、私自身も学ぶことが多いインタビューとなりました。
ムセンコネクトはこれからも、Bluetoothモジュールや無線化サービスを通じて、メーカーの皆様と共に産業の発展を支えてまいります。