【 無線化講座が「本」になりました 】ムセンコネクト著書『Bluetooth無線化講座』出版決定

自社単独では諦めかけていた手続きを伴走・完遂、加賀FEI株式会社様のBluetooth認証コンサルティングサービス導入事例

こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。

今回はムセンコネクトのBluetooth認証コンサルティングサービスをご採用いただいた加賀FEI株式会社様の導入事例インタビューをお届けします。

Bluetoothをはじめとした小型無線モジュール事業に従事されている加賀FEI株式会社 製品開発部長の越智 英暉氏、プロジェクト課長の島田 裕司氏、峯岸 幸人氏、兎原 直也氏に、Bluetooth認証コンサルティングサービス採用までの経緯や本サービスをご利用いただいたご感想を伺いました。

*写真左手前二番目から加賀FEI株式会社 部長越智氏、峯岸氏、兎原氏、課長島田氏

目次

加賀FEI株式会社とは?

加賀FEI株式会社は、1952年設立の電子部品商社です。現在の主な事業としては、

  • ⾃動⾞、AV機器、通信機器、情報処理機器向けなどの⺠⽣⽤・産業⽤電⼦デバイス製品の販売
  • アプリケーションボードの開発、設計、販売
  • マイコンの⺠⽣⽤・産業⽤ ⽤途別組込みソフトの開発および販売
  • IoT無線通信モジュールの開発および販売
  • カスタムSoCなどの開発、設計受託および技術サポート

などが挙げられ、業界トップレベルの技術力とカスタム対応力を駆使して、システム開発から量産までのトータルなサービスを提供しています。

2021年には加賀電子グループの一員として新たなスタートを踏み出し、「商社から“創社”へ。」を合言葉に、新価値創出のワンストップパートナーとして、お客様と共に新しいサービスや事業の創出に取り組んでいます。

加賀FEIのIoTソリューション『CONTINECT』と主力製品『小型無線モジュール』

-- CONTINECT(コンティネクト)について教えてください。

越智 英暉 氏
加賀FEI株式会社 製品開発部長

越智氏:
2022年1月、太陽誘電株式会社が保有する小型無線モジュール事業の一部を譲受け、加賀FEIのIoTソリューションとして、『CONTINECT』という名の新たなブランドを設立しました。

『CONTINECT』では主力製品であるBluetooth、Wireless LANなどの小型無線モジュールを含めたワイヤレスソリューションを幅広く取り扱っています。また、その他基板開発・製造サービスのお手伝いや電波法認証、アンテナ測定サービスなどの提供も行っており、今後は電子デバイスメーカーとして新たな事業展開を目指しています。

--貴社Bluetoothモジュールの特長について教えてください。

島田 裕司 氏
加賀FEI株式会社 プロジェクト課長

島田氏:
「お客様にいかに便利に使っていただくか?」を起点に、スペック、インターフェース、サイズ(小型化)といった観点を総合的に考慮してBluetoothモジュール開発を進めています。例えば、単純に小型化することは容易いのですが、小型化したが故にお客様にとって使い辛いモジュールになってしまうこともあります。そこで、お客様にとって使いやすいモジュールであることを前提に、モジュールサイズも5パターンの標準サイズをご用意しています。
さらにスピード感を持った製品開発に加え、搭載するICの機能別にマトリックスを組んだ究極のラインナップをご用意しております。そうすることで、お客様毎のご要望に併せて最適なモジュールをご提案できるのが我々の強みだと思っております。

用途に応じて選べる5種類のサイズ展開
超小型Bluetoothモジュール

--是非一度伺ってみたかったのですが、なぜ他社モジュールメーカーと比較してこんなにラインナップが豊富なのでしょうか?小型化が理由でしょうか?

島田氏:
小型化や製品実装のしやすさの観点もそうですし、ノルディックセミコンダクターとの強力なパートナーシップの下、ICのラインナップも充実させた結果、今の豊富なラインナップに行き着きました。

峯岸 幸人 氏
加賀FEI株式会社

峯岸氏:
あとは、ユーザーの想いに応える製品開発を実現しているからだと思います。例えば長距離通信を実現したいというユーザーからの想いが、Coded PHY対応ICでのモジュール化へとつながり、ICの機能を最大限活かすためのアンテナのこだわりだったり、ユーザーの利便性を高めるサイズ展開に結びついています。他社と比較すると、そのような製品設計に対する思想の差が、ラインナップの差につながっているのかもしれません。

諦めかけていたBluetooth認証手続き、社内からの提案

-- Bluetooth認証コンサルティングサービスをご検討いただいた経緯や、貴社の背景について教えてください。

兎原 直也 氏
加賀FEI株式会社

兎原氏:
2022年に太陽誘電から加賀FEIに無線モジュール事業を事業譲渡されたことに伴い、いくつか実施しなければいけない手続きが発生しました。その中の一つとしてBluetoothの製品登録に関するListing Transfer(権利譲渡)があり、私はBluetooth SIGとのやりとりを担当しました。当時はSIGが提示する手続き方法に則り手続きを行っていたのですが、進めていくにつれ、当初提示されていた手続き方法からは想定していなかったような回答や要求事項が発生してしまい、手続きが一時中断してしまいました。

-- 中断した時、社内ではどのような状況だったのでしょうか?

兎原氏:
正直に話すと、諦めていました。というのも、Bluetooth SIGの要求事項が淡泊、かつ、当時の状況を考えると実現不可能に近い内容であり、時間的な猶予もないことから社内の開発側ではこれ以上の対応は難しいと判断せざるを得ず、Listing Transferは諦めて、費用を投じてでも新規でBluetooth認証の取得に動こうとしていました。

峯岸氏:
社内でBluetooth認証に関する手続きがうまくいっていないことは把握していました。そこで、ムセンコネクト水野さんがBQC(Bluetooth® 認証コンサルタント)の有資格者であり、対外的な情報発信の場でも解決策を多数提示していたことを知っていたため、「一度ムセンコネクトの水野さんに、相談してみてもよいのでは?」と社内に提案を持ちかけたことが最初のキッカケでした。社内でも「これでダメなら諦めません?」と、もう一度リトライしてみようという機運が立ち込めてきました。

-- その後、ムセンコネクトが関与することになりましたが、リトライ時の手続きの中でも様々なことが発生しました。当時の心境や感想を教えてください。

兎原氏:
一番不安だったのは、手続きが振り出しに戻ってしまった時でした。ムセンコネクトさんにも関与してもらった上でSIGとのやり取りを再開したにも関わらず、単独で手続きを行った時と同じ状況になってしまった時です。「これ、本当に大丈夫なのかな?」と正直不安のピークでした。ただ、水野さんがSIGと直接交渉してくれるようになってからは、一週間足らずで一気に解決に導いてくれました。

越智氏:
それと今回、ムセンコネクトさんが関与してから解決に至るまでにはある程度の時間を要してしまいましたが、それは社内や相手企業との調整だったり、SIG側での確認作業に時間がかかってしまったことが原因であり、実際、ムセンコネクトさん自身の動きは毎回迅速でしたし、即日のレスポンスだったのは非常に有難かったです。解決に導いてくれて大満足です笑

-- 今後、もし他のお客様にムセンコネクトをお勧めするとしたらどんな点でしょうか?また、今後我々に期待していることがあれば教えてください。

峯岸氏:
大きくは三点あります。まずは越智も話していましたが、他社にはないスピード感が一つ。また、今回特殊な条件(社外に開示できない情報が多く、限られた情報の中での交渉事)にも関わらず、その中から最適な提案をしてくれるなど、柔軟性のあるコンサルティングが魅力です。

そして、何よりも我々の中で驚いていたことは、SIGの担当者の癖や性格までご存じだったことです。「あの担当者はこう対応すればよい」などの情報は、我々メーカーには絶対に持ち合わせていない部分だったので、最初から最後まで非常に心強かったです。

それと、ムセンコネクトさんには今後も無線化ユーザーの裾野を広げる活動を継続していただきたいと思っています。例えば弊社には「無線モジュールもBluetoothも扱うのは初めてなんです」とか、「これからスマート化、IoT化を推し進めていきたい」というお客様からのお問合せを多数いただきますが、どうしても全部のニーズに対して満足にサポートしきれないことがあります。ムセンコネクトさんではそういう初心者に近いようなユーザー向けにも、ブログやYouTubeなどを通じて情報発信を展開されており、まずは該当の情報を共有したり、お問合せ先として紹介したりなど、無線化初心者ユーザーの受け皿としての機能を今後も期待しています。

「世界一を目指す」、加賀FEIの決意とは

-- 今後の貴社の展望を教えてください。

越智氏:
今回の事業譲渡により、太陽誘電さんがこれまでやってきたことはしっかりと受け継ぎ、加賀FEIの元々の強みをどれだけプラスアルファ付加できるかが重要だと考えています。だからこそ、CONTINECTというブランドではキーパーツである無線モジュールは勿論のこと、それに付随する「ソリューションサービスを提供できる」という私たちの強みを意識して事業成長を狙っていこうと考えています。

島田氏:
私自身、無線という業界にはかれこれ20年以上携わってきた中で、以前はある限られた層にしか使われていないものだったのが、今は広い分野や業界で無線の採用が進んできており、無線技術が時代のトレンドであることを実感しています。

そんな時代の中で、我々の製品は世界一を目指しています。世界一を目指すために、より小さくて扱いやすい、組み込みやすい製品を今後もつくっていきます。

たかがモジュール一つですが、本当にいろんな部門が知恵を出し合い、技術力を集積させてできた製品です。ただ単純に部品を集めてきただけでは今の形には絶対になれなくて、「さらに何を加えていかなければいけないのか?」ああでもない、こうでもないと議論を重ね、私たちの想いが全て詰まった結晶のような製品です。

今後も様々なお客様につかっていただくために、小さいだけではなく、バリエーション豊富なサイズのモジュールを展開し続け、「無線を誰にでもつかっていただきたい」というその一心で、世の中に無線の魅力を広めていきたいと考えています。

インタビューを終えて

今回は、Bluetoothビジネスに精通されている加賀FEI様にインタビューさせていただきました。事業譲渡という特殊、かつ、社外に開示できる情報が限られた条件下でのListing Transferでは、予期せぬSIGとの交渉トラブルも発生するなど、お客様としてはご心配になるシーンもあったかと思いますが、無事業務を完遂し、我々のコンサルティングサービスの価値を実感していただけたのは何よりでした。

インタビュー後の製品撮影の際、撮影角度や光の当たり具合、細かい傷やホコリが付いていないかなど、皆さんがあの小さなモジュールを食いつくような姿勢で見守っていたのが印象的でした。その姿からはこのモジュールにかける強い想いがヒシヒシと伝わってきました。このビジネスにかける加賀FEI様の情熱が少しでも多くの読者に伝われば嬉しいです。

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