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お客様の願いを叶えるという至上命題を無線通信で実現、トキコシステムソリューションズ株式会社様のBluetoothモジュール導入事例

こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。

今回はLINBLE-Z1をご採用いただいたトキコシステムソリューションズ株式会社様の導入事例インタビューをお届けしたいと思います。

Bluetoothモジュールを搭載した灯油宅配用ハンディPOSシステム『LORRY STAFF V(ローリー スタッフ ファイブ)』の製品化をご担当されたトキコシステムソリューションズ株式会社 主任技師の粕谷 晃夫氏、主任技師の赤見 裕介氏、ソフトウェアエンジニアの岩崎 貴浩氏に、Bluetooth導入までの経緯や本製品の開発秘話を伺いました。

トキコシステムソリューションズとは?

トキコシステムソリューションズ株式会社は1937年に創業され、総合システムソリューションを提供するリーディングプレイヤーとして、強くてしなやかで安全な、次世代へとつながる産業・エネルギーインフラを提供しています。

長年培ってきた液体(燃料油・薬品・超純水等)、流体(各種ガス等)を計測・制御する技術や、サービスステーション(ガソリンスタンド)、危険物施設(各種燃料貯蔵設備等)のエンジニアリングに多くのノウハウを有し、それらをベースとした2つの事業に関わる『ものづくり』『販売』『保守・メンテナンス』を展開しています。

  • エネルギーソリューション事業

サービスステーションや自家用給油所に関わる製品の製造・販売/建設工事/保守・メンテナンス

  • インフラ・エンジニアリング事業

計装関連製品や燃料電池車(FCV)向け水素ステーション関連製品の製造・販売/建設工事/保守・メンテナンス、ファシリティエンジニアリング、医療機器開発支援

LINBLE-Z1を搭載した『LORRY STAFF Ⅴ』とは?

『LORRY STAFF V』は灯油などのローリー配送業務、伝票発行、集計業務を効率化させることができます。ローリー車から50m離れた場所でもBluetooth通信で流量計と通信し、手入力なしで給油データを取込み、伝票を発行できるのが大きな特長です。

  • システム名:LORRY STAFF Ⅴ
  • 型式:EPM45
  • システム特長
    • ローリー車から最長50m離れた場所でもスムーズな伝票発行が可能
    • 視認性の高い大型カラータッチパネルを搭載した使いやすいモバイル型ハンディターミナルを採用
大型タッチパネルで操作がしやすいモバイル型ハンディターミナル

開発のキッカケは「お客様の声、現場作業者のニーズに応えたい」

粕谷 晃夫 氏
トキコシステムソリューションズ株式会社 主任技師

まず始めに『LORRY STAFF V』の開発プロジェクトマネージャーを務めた粕谷氏とシステムエンジニアリングを統括された赤見氏からお話を伺いました。

-- 今回LINBLE-Z1を搭載してBluetooth化を実現した貴社製品について教えてください。

粕谷氏)
まずは灯油宅配というサービスについてご説明します。

北国では冬場になるとストーブなどの燃料用灯油をご家庭や集合住宅のホームタンクに補充する宅配サービスがあります。その灯油を運ぶローリー車に弊社の流量計を採用してもらっており、配送作業者の方々が日々灯油の計量を行っています。

ただ、大きいローリー車だとお客様のご自宅前に停められないケースも発生します。その場合は少し離れた場所にローリー車を停車し、長いノズル付きホースを使ってホームタンクに補充するのですが、そうなるとローリー車に搭載された流量計とホームタンクは離れた場所にあるため、配送作業者の方々は「補充した値がすぐに分からない」といった課題がありました。

しかも冬場は天候に関係なく、吹雪の中でも流量計を確認するためにローリー車まで戻り、手書きで計量結果を記録していたため、配送作業者の大きな負担となっていました。

そこで、我々はこういった課題を解決するため灯油宅配用POSシステム『LORRY STAFF』を製品化しました。

シリーズを重ねるごとに様々な課題をクリアしていきましたが、最大50mもの長い距離を有線通信するには配線が難しく、シリーズ4作目ではBluetooth通信に対応したものの、実際の現場における通信距離は10〜20m程度に留まっており、遠く離れた場所でもスムーズな計量を実現するといった課題は残ったままでした。つまり、ローリー車から最大50m程度離れた場所でも流量計と通信し、計量したデータを確認したい、または伝票を発行したいという大きなニーズにはお応えできておらず、市場からは「もっと離れた場所からでも操作できるように通信距離を伸ばしてほしい」という要望が多数寄せられていました。

目指すべき至上命題は『通信距離50m』の実現

赤見 裕介 氏
トキコシステムソリューションズ株式会社 主任技師

赤見氏)
2020年1月からシリーズ5作目となる『LORRY STAFF V』の開発プロジェクトを開始しました。最新モデルとなるシリーズ5作目では大きく2つのポイントに重点を置きました。1点目はシステム構成を大きくシフトチェンジしたこと。従来モデルの『LORRY STAFF Ⅳ』ではプリンター一体型のハンディターミナルを採用したシステム構成でしたが、配送作業者の方々の『操作性』や『携帯性』を考慮し、モバイル型Androidハンディターミナルとモバイルプリンターという分割型の構成に大きくシフトチェンジを図りました。

左がLORRY STAFF Ⅳのプリンター一体型ハンディターミナルデジタル
右がLORRY STAFF Ⅴのモバイルプリンター分割型Androidハンディターミナル(型式:EPM45)

そして2点目は、本開発プロジェクトの至上命題となった『通信距離50m』の実現です。そこでシステム構成上、Androidハンディターミナルと流量計とをつなぐBluetooth変換器が重要であると捉え、Bluetoothモジュールは複数の候補の中から慎重に選び、基板設計と評価にも時間をかけ、試行錯誤を繰り返しました。その結果、通信仕様として至上命題であった『通信距離50m』を実現することができました。

上がLINBLE-Z1が搭載されたBluetooth変換器

LINBLE-Z1採用の決め手は「開発工数の削減と通信距離の長距離化」

LINBLE-Z1をご検討頂いたキッカケとは?

岩崎 貴浩 氏
トキコシステムソリューションズ株式会社 ソフトウェアエンジニア

続いて、『LORRY STAFF V』のソフトウェア開発を担当された岩崎氏からもお話を伺いました。

-- ムセンコネクトのLINBLE-Z1をご検討いただいた経緯を教えてください。

岩崎氏)
『LORRY STAFF V』では「通信距離50mの実現」という高い目標があったため、モジュール選定は複数候補の中から、非常に綿密に行いました。

世の中には色々な種類のBluetoothモジュールが存在していますが、その中でも前モデルで採用していたZEAL-C02(注1)とピンコンパチブル構造であるLINBLE-Z1を採用しました。それによりイチからの基板設計が不要になり、基板側のファームウェアも一部初期化部分の変更はあったものの、それ以外は微少な変更で対応可能だった点が魅力的でした。

*注1 シリーズ4作目『LORRY STAFF Ⅳ』では無線化.comのZEAL-C02を採用

結果的にはLINBLE-Z1を採用し、かつ、基板設計の最適化を図ったことで目標性能である通信距離50mを達成することができました。具体的にはLINBLE-Z1の電波特性を最大限引き出すため、Bluetoothモジュールのアンテナに対して基板側のパターンが邪魔をしないようにしました。実際、通信距離を最大化するための基板設計には数か月程度の時間をかけ、通信距離の検証も何度も何度も行いながら進めるなど、こだわって作りこみました。

Bluetooth変換器に組み込まれたLINBLE-Z1

--LINBLE-Z1を他のエンジニアの方々におススメするとしたらどんな部分でしょうか。

岩崎氏)
誰でもカンタンに使えるので、Bluetoothを使って通信がしたい、という使いやすさを求めるユーザーにとってはかなりおすすめです。実際今回の基板側のソフトウェアについても、Bluetoothのプロトコル部分については何も考えずに開発することができました。

-- 他に本開発においてご苦労された点はありましたか。

岩崎氏)
私自身は元々マイコンの組込みソフトの開発を得意としておりますが、Android OS上で動くソフトウェア製品のアプリ開発については初めてであり、トキコとしてもそれほど経験が少ない中での開発でした。特に今回のアプリケーションはPOSシステムであり、『お金』に関わります。流量を正確に図り、金額を正確に算出する品質を担保しなければPOSシステムとして成立しないという、非常にシビアな品質水準が求められる世界です。具体的には、給油量に対して金額が算出され、消費税や軽減税率等を全てこのアプリケーション内で完結させなければならなかった点が非常に苦労しました。

正直に教えてください!「ムセンコネクトの技術サポートはいかがでしたか?」

岩崎氏)
他社製Bluetoothモジュールとも比較・検討していましたが、技術的な質問をした際、他の会社からは納得のいく回答が返ってきませんでした。また、回答一つとっても返答までに1〜2週間も時間を要する状況でした。一方、ムセンコネクトは問合せすると当日に回答があり、かつ、的確な内容だったので開発をする上でも非常に助かりました。社内の周りのエンジニア達からも「優秀だね」と評判も良かったんですよ。

次期モデルでは「もっと、遠くへ」

-- ムセンコネクトの新製品開発に対して、ご意見やご要望はありますか?

岩崎氏)
『LORRY STAFF Ⅴ』では通信距離50mを実現しましたが、今後POSシステムの通信距離をさらに伸ばすときに備え、通信距離性能がもっと長いBluetoothモジュールに興味があります(注2)。勿論、互換性のある新製品でお願いしたいです。

*注2 ムセンコネクトでは2021年夏にLong Rangeモジュールの研究開発を予定しております。

トキコは「インフラを担っている」という使命、その情熱と自負

-- 最後に貴社の事業、製品について今後の展望を教えてください。

赤見氏)
会社全体でいうと『カーボンニュートラル』などの社会情勢も考慮した経営の舵取りが重要になります。そのため、例えば水素ステーション用ディスペンサーや制御装置なども製造し、世の中に提供しています。

しかし、クリーンエネルギーへの移行はすぐには進まず、既存のエネルギーも活用した『エネルギーミックス』で、色んなエネルギーを適材適所で使いながら進むと考えています。だからこそ、今回の『LORRY STAFF Ⅴ』のような、今のインフラをダイレクトに支える製品を世の中に提供することで、社会インフラを支え続けたいと考えています。

日々の市民生活を支える製品を製造・販売しているということは、我々の製品がないと多くの方々が困ることになります。今回提供しようとしている灯油宅配用POSシステムも同じで、灯油配送作業者の方々がスムーズに、かつ、当たり前に灯油宅配できるようにすることで人々の快適な生活を下支えすること、それが我々の使命になります。

粕谷氏)
だからこそ、トキコの製品づくりは「新しくつくるからには一番のモノをつくろう」「半歩でもよいから前にいくぞ」という情熱を常に持ち、日々社会インフラを支えているという自負を持って世の中を支える製品をつくっています。

岩崎氏)
私の入社した年に前モデルである『LORRY STAFF Ⅳ』が発売されました。今回、一つの製品を製品化まで手がけたのは業務上初めての経験であり、さらにそれが私が入社した年に発売された製品の次期モデルということで大変思い出深い製品となりました。最後まで手がけた初めての製品が、世の中で広く使っていただけたら嬉しい限りです。

Bluetooth化のポイント

  • LINBLE-Z1を使うことで、お客様の念願だった『通信距離50m』を実現することができた。
  • LINBLE-Z1の通信距離性能を最大限引き出すため、基板設計や評価を重ね、基板の最適化を図った。
  • ZEAL-C02と互換性のあるLINBLE-Z1を採用することで開発工数が削減できた。

インタビューを終えて

今回は三名の方々にお話を伺いました。本プロジェクトは非常に高い目標を最初から掲げ、今回のインタビューには参加されていない方々も含めたみなさんの努力の成果が、高い目標達成につながったと確信しました。また、インフラを支える方々のプライドとその執念を肌で感じ取ることができたインタビューとなりました。

ムセンコネクトのBluetoothモジュールが社会インフラを支える一部分として活用されたことに私自身も誇りを感じ、今後も産業機器の無線化を支えるサプライヤーとして責任を持って運営を続けていこうと身が引き締しまる思いです。

この記事を書いた人
筑波大学大学院修了。AGC、ユニクロ、freeeを経て、デバイスと無線通信をひとつにするつなぎ役としてどんなメーカーでも無線化を実現できる世界をつくりたいという想いで株式会社ムセンコネクトを創業。Bluetooth SIG公認 Bluetooth®認証コンサルタント。株式会社イーアールアイの取締役を兼任。
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