【 無線化講座が「本」になりました 】ムセンコネクト著書『Bluetooth無線化講座』出版決定

無線化をイチ早く実現して現場の不便を解消、株式会社ヤナコ計測様のBluetoothモジュール導入事例

こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。

今回はLINBLE-Z1をご採用いただいた株式会社ヤナコ計測様の導入事例インタビューをお届けしたいと思います。

車検用機器である光透過式黒煙測定器『オパシメータ』のBluetooth化をご担当された株式会社ヤナコ計測 取締役の小村谷 敏秀氏、リーダーの野村 裕二氏に、LINBLE-Z1導入までの経緯や本製品の開発秘話を伺いました。

目次

株式会社ヤナコ計測とは?

株式会社ヤナコ計測は、1981年に旧柳本製作所の自動車排気ガス測定器を主体とする開発部門から独立した会社です。現在では自動車排気ガス測定器に加えてガスクロマトグラフなどの分析装置、並びにグループ各企業が取り扱う多岐にわたる製品の生産支援を通じて社会、そしてお客様に求められる計測器、分析機器、サービスの提供を続けています。

LINBLE-Z1を搭載したオパシメータとは?

-- 今回LINBLE-Z1を搭載してBluetooth化を実現した貴社製品について教えてください。

小村谷氏)
『オパシメータ』はディーゼル車の排気ガスを分析する車検用分析機器です。2007年にディーゼル車の排気ガス検査が高度化されたことに伴い、粒子状物質中の有機性可溶成分を高精度で測定できるオパシメータが求められるようになりました。
ディーゼル車の排気ガス検査では、フル加速時の排気ガスを測定するため、車の排気管(マフラー)にオパシメータをセットした状態で、運転席のアクセルを踏み込むという動作が必要になります。製品化当初のオパシメータは本体と操作リモコンを有線で繋いでいたため、二人掛かりでの測定が必要だったり、長いケーブルの取り扱いが煩わしいなど、不便な一面もありました。加えて、海外メーカーが無線通信を搭載したオパシメータを上市していたこともキッカケとなり、すぐに無線化の検討に取り掛かり、国内メーカーではいち早くBluetooth無線通信を搭載したオパシメータをリリースしました。

光透過式黒煙測定器『オパシメータ』
光透過式黒煙測定器『オパシメータ』用リモコン

LINBLE-Z1採用の決め手は互換性とカンタン自動接続モード

小村谷 敏秀 氏
株式会社ヤナコ計測 取締役

-- LINBLE-Z1を検討されたキッカケや採用の決め手を教えてください。

小村谷氏)
元々オパシメータでは長年、無線化.comのSPPモジュール『ZEAL-S01(注)』を利用していました。ZEAL-S01の終息に伴い、代替品を探す必要がありましたが、ムセンコネクトからZEALの後継モデルが販売されることは聞いていました。
注)ZEAL-S01はLINBLE-Z1の前身となったエイディシーテクノロジー社のBluetoothモジュール。LINBLE-Z1と互換性あり。

ZEAL-S01の手持ち在庫が無くなるタイミングでLINBLE-Z1を試してみたのですが、従来基板に載せ替えるだけで難なく一通りの動作が確認できました。やはりピンコンパチで互換性が担保されていたのが一番の決め手となり、LINBLE-Z1を採用することに決めました。また、タイミング的にちょうどSPPからBLEへの移行を考えていたこともマッチしました。オパシメータは本体と操作リモコンそれぞれにBluetoothモジュールを搭載し、Bluetoothモジュール間のペア通信を行う構成ですが、SPPからBLEに切り替えたことで、従来のSPP通信では難しかったiOSとの通信や、スマホ・タブレット端末との通信が容易になりました。現在は次なる進化として、専用のスマホアプリを開発するなど、更なるユーザビリティ向上を模索しています。

リモコン側に組み込まれたLINBLE-Z1

--LINBLE-Z1を他のエンジニアの方々におススメするとしたらどんな部分でしょうか。

小村谷氏)
組み込み系を扱っているエンジニアの方や特にRS232Cで通信している基板をお持ちの方にはぜひ一度試してもらいたいです。画期的で便利です。

LINBLE-Z1の一番良い所はRS232Cから先のBluetooth通信部を一切考える必要がないところ(シリアルトンネル機能)だと思います。LINBLE-Z1を採用する前には他社の無線モジュールも試用してみましたが、通信データ以外に初期化や接続/切断のコマンドが必要だったりプログラム側の面倒があって採用を見送りました。その点LINBLE-Z1は自動接続モードを使えばコマンド操作なく電源をONするだけでデータ通信が始まります。ほとんどのマイコンはシリアル入出力を持っていますのでLINBLE-Z1を使うとカンタンに無線通信機器をつくることができます。我々もRS232Cで通信している試作品をすぐに無線化することができました。シリアル通信をそのまま無線化できることは開発期間の短縮という面でも利点があるのではないでしょうか。『シリアル通信をカンタンに無線化』というZEALシリーズから引き継がれたLINBLE-Z1の設計思想は開発者の視点から見ても本当に親切であると思います。

また、純粋なBLEデバイスとして使えるのも意外な利点です。Core Bluetooth(Apple社が提供するBLEフレームワーク)を使い、iOSアプリからLINBLE-Z1を検索して自社の基板と通信することもできますし、幅広い使い方ができると思います。

-- ムセンコネクトの新製品開発・サービスに対して、ご意見やご要望はありますか?

小村谷氏)
現在、LINBLE-Z1を機器本体とリモコンそれぞれにペアで組み込んでいるため、機器調整時に一対ずつペアリング作業を行っているのですが、対象外のBluetooth機器とペアリングしてしまわないように手順を決めて作業しています。そこで、ムセンコネクトさんの方で予めBluetoothモジュールをペアリング設定してくれるようなサービスがあれば利用したいと思います。

ヤナコのオパシメータは「人の命を預かっている」基準でモノづくり

野村 裕二 氏
株式会社ヤナコ計測 リーダー

-- 最後に貴社の事業、製品について今後の展望を教えてください。

野村氏)
車検業界は全体として製品に求められる水準が非常に高く、製品づくりにおいては厳しいと感じることが多々あります。ですが、例えば排ガス測定器は排気ガス中の一酸化炭素濃度を測定するのですが、濃度が高いのに低く出てしまうと、その車検結果が人命を左右することになりかねません。車検業界は他にもブレーキテスタ、速度計、サイドスリップテスタ、ヘッドライトテスタ、他にも整備機器としてアライメントテスタとリフト等がありますが全て人命に関わる機器ですので我々は「人の命を預かっている」という基準で、今後も日々のモノづくりに邁進してまいります。

Bluetooth化のポイント

  • 製品化直後に顕在化した現場での不便を、無線化することでいち早く解消。
  • LINBLE-Z1採用の決め手は2つ。ZEAL-S01と互換性があり、移行がスムーズだった点。RS232Cの無線化が容易で、Bluetooth通信を意識しなくて良い点。
  • BLE化でiOSやスマホ、タブレットとの通信も可能に。ユーザビリティの向上など、さらなる製品の進化を模索中。

インタビューを終えて

今回お話を伺ったのは、長年オパシメータの開発に携わっていらっしゃるお二人でしたが、新たなチャレンジをしつつも業界特有の高い水準をクリアし、さらにそれを継続し続けることはなかなかできることではありません。そんな市場要求に対し、当たり前のように応えているヤナコ計測様の企業姿勢には感服するばかりで、私自身としても学びの多いインタビューとなりました。

ムセンコネクトでは今後もBluetoothモジュールや無線化サービスを通じて、メーカー様と一緒に産業を支えてまいります。

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