【 無線化講座が「本」になりました 】ムセンコネクト著書『Bluetooth無線化講座』出版決定

Bluetooth東京セミナー2020 Day2 速報まとめ。Bluetooth LE活用の具体的事例、方向検知機能の展望、meshによる産業用照明など。

2020年10月29日に開催された「Bluetooth東京セミナー2020 」イベント2日目の速報をお届けします。Bluetoothに関する最新の情報や各社の取り組みから皆さまの無線化開発のヒントになれば幸いです。

目次

Bluetooth®技術の最新機能と急成長するコンシューマ分野以外のBluetoothデバイスについて

2日目のスタートはBluetooth SIGデベロッパーリレーションズディレクター JIM KATSANDRES氏。非コンシューマ機器への急速な普及を後押しするBluetooth®低消費電力技術の進歩について講演。

冒頭では近年のBluetooth LEの技術進化について。ここ5年で様々なテクノロジーの進化があり、以下で紹介するような具体的事例の実現を可能にしたキーテクノロジーということで紹介。

産業用途におけるデータ転送の具体例。スイスに本社を置くABB社ではBluetoothセンサーを活用し、駆動装置などのデバイスの状態監視と予知保全を実現。

位置情報サービスはホッケーの試合でも活用されており、天井には受信機が2台取り付けられ、選手とホッケーパックの位置と加速度がリアルタイムで算出される仕組みも。

SIGメンバー企業(AppleとGoogle)がBluetooth位置情報サービスを利用した曝露通知ソリューションを共同開発。これにより新型コロナウイルスの感染防止および日常へ復帰することが可能に。

Bluetooth LEの新たなトレンド

続いて、東芝デバイス&ストレージ株式会社エキスパートの足立 克己氏からの講演。足立氏はBluetooth SIGのBoard of Directorsの一人。

v5.2が振興するユースケース/ユーザシナリオ

Bluetooth技術トレンドの遷移はBasic Rate(BR)/ Enhanced Data Rate(EDR)/ High Speed(HS)から始まり、v5.2で同期通信・タイミングコントロール、出力コントロールがテーマに。

更に、センシング・制御領域での振興もあり、Bluetooth LEの重要性がますます高っていると強調。

その他講演では、認証の必要性についても言及。ユーザーに対して魅力的な体験を届け続けるには、Bluetoothの相互接続性を担保する必要性が有り。そこでBluetoothには、例えばコアスペックの期限を設け、仕様合致確認する仕組みとして製品登録(Bluetooth認証)が存在との説明。

Bluetoothを利用した恒久的IoTインフラ

次は、株式会社WHERE代表取締役 丸田 一 氏の講演。デジタルツインを実現するIoTインフラ、自社サービス「EXBeaconプラットフォーム」の紹介、導入実績、IoTインフラの課題がメインテーマ。

デジタルツインは「見える化」「最適環境」「業務アクティビティ」を実現し、IoTインフラの働き(要件)についても提示。

IoTインフラ「EXBeaconプラットフォーム」はフラッド型メッシュネットワークを採用。Bluetoothを利用、かつ、独自仕様のmesh(最大12バイトのパケットサイズ)ネットワークであり、独自ハードウェア、様々なクラウド利用可能が特徴。

導入事例

導入事例は上記だけに留まらず他にも物流分野などもあるなど様々な業界に導入が進んでいる模様。IoTインフラの課題として「ローカル5Gとの役割分担」「IoTセキュリティ」「個人情報の扱い」を、最後に挙げて講演は終了。

方向検知機能に関する展望と課題

セミナーの終盤は、太陽誘電株式会社 次長 加藤 秀樹 氏の講演。Bluetoothの最新規格化動向の解説とともに、話題となっているv5.1で規格化された方向検知機能の原理及び構成の紹介。方向検知機能に対する課題と共に、現在の取り組み、測位レベルをデモンストレーションビデオを交えての講演。

最新Bluetooth®規格動向

v5.1では方向検知技術(Direction Finding)を規定化することにより、位置検出ユースケースの新たな掘り起こしを誘起する流れである、と言及。

方向検知機能対応Bluetoothモジュールの紹介

最新のv5.2対応、機能が「シンプル」か「高機能」かで大別され、全部で5種類のラインナップ。

最後、方向検知機能に対する課題として「様々な外乱要因がある中で行う必要があるため、お客様が少しでもベストな状態で使えるソリューションの提供を検討する必要がある」とのコメントも。Q&Aセッションでは「パートナー企業とともにAoA、AoDのアンテナを当面供給することでお客様の課題を解決する」など、オーディエンスの興味が高く多数の質問及び回答が繰り広げられ、講演が終了。

Bluetooth meshの産業用照明

最後は、ノルディック・セミコンダクター株式会社 代表取締役 山崎 光男 氏の講演。Bluetooth mesh、特には産業用照明をテーマとして講演。

Lighting Marketの概要

世界の照明市場の中ではSmart Lighting/connected lightsに該当するシェアは数%とまだまだ低いが、今後5年で売上額が3-4倍程度成長し、そこで採用される通信方式はBluetoothタイプが主流になるとの調査結果を報告。

一方で、コンシューマー向けConnected Lightingのトレンドとして近年では「zigbee方式を採用した照明」が増えているのも事実。

また、プロフェッショナルLightingにおいては必要な要件となる「スマホ/タブレットとの接続性」と「meshネットワークによるサービス拡張性」から、Bluetoothを利用したプロフェッショナルLightingが今後増えていくとのこと。

Nordicチップのラインナップ

v5.2で搭載される「LE Audio」にも対応できるnRF53シリーズ(nRF5340)もラインナップ。また、照明用のアプリケーションをつくるためのSDK(nRF5 SDK)も準備しているため、基本的なLighting開発プラットフォームをユーザー側に提供可能とのコメントがあり、全ての講演が終了。

Day2を終えて

2日目は1日目に比べ、具体的な事例が多くオーディエンス側としてイメージしやすい内容が多い印象を受けました。また、本日時点のBluetoothを取り巻く環境をみた時「新しいBluetooth技術に対する、期待の高さとそれを使いこなすことは別あり、Bluetoothを利用した製品づくりに関しては今後も継続した努力がどの企業にも求められる」と感じました。

今回初のオンライン開催ということもあり若干のアクシデントがあったものの、非常に有意義な2日間となりました。来年も楽しみですね。

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