長距離通信機能Bluetoothロングレンジ(LE Coded PHY)対応モデル『 LINBLE-LR1 』サンプル販売開始

【体験メモ】Bluetoothモジュールの技適取得で必要なもの、期間や手続きの流れなど

こんにちは、ムセンコネクトCMOの清水です。(プロフィール紹介はこちら

今回は日本の電波法取得に関する体験談をお話したいと思います

目次

技適取得の体験記録をシェアします

先日、ムセンコネクトではBLEモジュール「LINBLE-LR1」の日本電波法、つまり技術基準適合証明(以後、技適と呼びます)を取得しました。

日本の電波法(技適)は、「技適取得済みの無線モジュールやプロダクトを流用すれば、最終製品での再取得は不要」というルールです。このため、自社製品に無線機能を搭載しているメーカーであっても、「自ら技適を取得する」という経験をしたことがあるメーカーは多くないかもしれません。

実際、弊社もこれまでそのような機会はありませんでしたが、LINBLE-LR1を開発するにあたり、自ら技適を取得するチャンスが得られました。

そこで今回は数少ないチャンスを有効活用すべく、技適取得に関する一連の体験やメモを記録に残し、記事として公開することにしました。

これから技適取得を検討されている方には取得の流れがイメージできると思いますし、この記事を見て大変そうだと思った方は、技適取得済みの無線モジュールを探す後押しになるかもしれません。

ぜひ参考にしてみてください。

技術基準適合証明と工事設計認証は取得方法が若干異なる

なお、これからお話する下記の内容は「技術基準適合証明」を取得した際の記録です。

日本の電波法では「工事設計認証」という取得方法もありますが、技術基準適合証明とは取得方法が異なります。ガラッと変わるわけではありませんが、提出書類や取得期間、費用などが変わってきますのでご注意ください。

技術基準適合証明と工事設計認証の違いは下記の記事でも解説しています。

認証機関とのやり取り履歴

LINBLE-LR1の技適取得に要した期間は1ヶ月でした。2021年8月27日に認証機関へ問い合わせを開始し、ちょうど1ヶ月後の9月27日に技適取得が完了しました。

その間、弊社と認証機関との間では多くのやり取りがありました。実際にどのようなやり取りが必要になるのか、記録したメモを共有します。時系列でまとめると下記のような流れでした。

日付やり取り履歴
ムセンコネクト認証機関
8/27電話にて技適取得の相談開始
申請に必要なもの、概要をメールで連絡
8/30・開発した製品「LINBLE-LR1」の仕様書、およびLINBLE-LR1で使用した太陽誘電製Bluetoothモジュールの仕様書を提出
・見積依頼用入力フォームに入力
・LINBLE-LR1の技適取得希望総数を連絡
8/31電話にて、「LINBLE-LR1のサンプル総数の写真」と「ラベル作成委託」の有無を確認
「LINBLE-LR1のサンプル総数の写真」+「ラベル作成委託依頼」をメール送付
・サービス契約書、見積書を送付
・LINBLE-LR1サンプル送付指示
・認証完了予定日を回答
9/2サービス契約書ならびに業務依頼を正式連絡
・業務依頼を正式受理
・請求書送付
9/3・請求書受領
・即入金
・9/3締切の申し込み書類を提出
9/6必要資料について質問
必要資料に関する質問に回答
9/9LINBLE-LR1のサンプル15台発送
9/10・LINBLE-LR1のサンプル受領
・工事設計書の記載内容について質問
・工事設計書の記載内容について回答
・必要資料一式をメール提出
・試験用サンプルの操作手順書をメール送付
・試験用治具を発送
9/13・試験開始
・ロス値について質問
9/14ロス値について回答
9/15・測定終了
・空中線電力について質問
空中線電力について回答
9/16工事設計書(案)の内容確認依頼
9/21工事設計書(案)について確認
9/22概要書(開発仕様書)、ブロック図の誤記について指摘
誤記部分を訂正し、再提出
9/27技適取得完了の連絡
LINBLE-LR1のサンプル返送
9/29LINBLE-LR1のサンプル受領

技適を取得するために自社で用意しなくてはならないもの

技適を取得するにあたり、自社で用意しなくてはならないものが大きく2つあります。1つは無線試験用のサンプル、もう1つは各種提出書類です。

無線試験用のサンプル

技適の審査では該当機器の無線試験を行います。よって技適を取得するためには該当機器の試験用サンプルを準備しなくてはなりません。

無線試験では試験対象となる無線機器と測定機(検査機)を同軸ケーブルで接続するため、同軸ケーブルを取り付けられるように該当機器の改造が必要になる場合もあります。

このような試験用サンプルの準備が必要

また、認証機関が試験を実施するにあたり、対象機器の電波を意図的に発信できるようにする必要があります。そのため、対象機器であるLINBLE-LR1のテスト用ファームウェアを用意したり、LINBLE-LR1の電波発信を操作できるテスト用アプリの提供が必要でした。

各種提出書類

今回、認証機関へ提出した書類等は全部で12種類です。

  1. 技術基準適合証明申込書
  2. 工事設計書
  3. 製品仕様書
  4. ブロック図
  5. 部品配置図
  6. RF部の構造説明資料
  7. アンテナ資料
  8. ラベル図・ラベル配置図
  9. 外形図
  10. 製品外部写真
  11. 製品内部写真
  12. 申込機器全数分の写真

*なお、3, 4, 5, 11はLINBLE-LR1のコアモジュールである太陽誘電製Bluetoothモジュールの資料も提出しました(太陽誘電様に資料提供を依頼しました)。

1. 技術基準適合証明申込書

いわゆる申込書。認証機関がフォーマットを用意しているので、必要事項を記入。

2. 工事設計書

認証機関とやり取りしながら作成。記入する内容についてはある程度認証機関からレクチャーしてもらえるので、それに従えば良い。

部品配置図の一部キャプチャ画像

3. 製品仕様書

製品概要、および製品の特徴がわかる仕様書。

4. ブロック図

※周波数、信号の流れが明確であること
※電源構成図とRF部への電源電圧が記載されていること
※部品配置図との整合が取れていること

実際に提出した説明資料

5. 部品配置図

※ブロック図との整合が取れていること
※内部写真(鮮明なもの)でも代用可

部品配置図の一部キャプチャ画像

6. RF部の構造説明資料

RF無線部がユーザーによって容易に開けることが出来ない構造になっていることを説明する資料。
※一つの筐体に収められ、かつ、容易に開けることができないこと要求されている

実際に提出した説明資料

7. アンテナ資料

下記の情報を含むアンテナ資料。

  • アンテナ型式(逆Fアンテナ等)
  • モデル名
  • アンテナゲイン(Peak)
  • 周波数範囲
  • 外観図(写真可)
  • コネクタタイプ(SMAリバース、UFL等)    

8. ラベル図・ラベル配置図

要件を満たすラベル。認証機関によってはラベル作成を依頼することも可。

ラベル配置図は写真でも可。

実際に提出したラベル配置図

9. 外形図

質量(g)および寸法(高さ・幅・奥行き)が記載された外観図。

外径図の一部キャプチャ画像

10&11. 製品外部写真・製品内部写真

実際に提出した製品外部写真

12. 申込機器全数分の写真

実際に提出した全数分の写真

ムセンコネクトでは技適の取得支援も承っております

こうしてLINBLE-LR1の技適取得が完了し、技術基準適合証明書が発行されました。

LINBLE-LR1の技適証明書(一部キャプチャ画像)

この記事でご覧いただいたように、技適を取得するためには技術資料を用意したり、無線試験用のサンプルやテストプログラムの準備も必要です。ある程度無線に関する専門知識が必要となるため、日頃無線技術に携わっていないエンジニアの方には少々ハードルが高いかもしれません。

そこで、ムセンコネクトでは技適の取得支援も承っております。

必要な技術資料をレクチャーしたり、試験用サンプルの改造をお手伝いした実績もございます。本記事をご覧いただいて、「自社で技適を取得するのは難しいかも?」と感じられた方は、お気軽にムセンコネクトまでご相談ください。

また、日本の電波法は「技適取得済みの無線モジュールを組み込んだ場合、最終製品での技適再取得は不要」というルールであるため、技適取得済みの無線モジュールを自社製品に組み込むのが一番容易で手っ取り早く、しかも認証取得費用を削減できるコストメリットもあります。

ムセンコネクトのコンプリートBLEモジュールLINBLEシリーズは技適(工事設計認証)取得済みのモジュールですので、合わせてご検討いただけましたら幸いです。

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