長距離通信機能Bluetoothロングレンジ(LE Coded PHY)対応モデル『 LINBLE-LR1 』サンプル販売開始

iOS版BLEアプリの作り方【第10回:審査へ提出・編集後記】

こんにちは。連載企画「iOS版BLEアプリをゼロから作ってみました(企画〜開発〜審査まで)」を担当させていただきました株式会社ERiの澤村です。

企画の趣旨や概要説明はこちらの記事をご覧ください。

今回でいよいよ最終回です。最終回は「App Storeの審査へBluetoothアプリを提出する際、特にやっておくべきこと」についてお話します。

目次

いよいよApp Storeの審査へ提出

第7回の「Apple Developer Programへの登録」、第8回の「申請したいアプリの配布用Provisioning Profileの作成」、前回の「App Store Connectでのアプリ情報登録」を終えれば審査の準備は完了です。

「審査へ提出」を押せばいよいよAppleによる審査となりますが、その前に「Bluetoothを使ったアプリを審査へ提出する際にやっておくべきこと」を取り上げたいと思います。

Bluetoothを使ったアプリを審査へ提出する際にやっておくべきこと

例えば自社製品などの特定のデバイスとBLE通信するiOSアプリを開発した場合、そのデバイスがなければAppleの審査者は実際にBLE通信をさせて動作確認することができないため、「情報不足」という理由でリジェクト(却下)になってしまうことがあります。

上記の理由でリジェクトされた場合には、デバイスと操作説明書をApple本社(カリフォルニア)まで送るよう要求される可能性がありますが、Bluetoothデバイスの輸出手続きは手間も時間もかかりますし、説明書を作るのも面倒です。加えてリジェクト後のやり取りは英語で行われますので、無駄な手間を増やさないためにもリジェクトは避けたいところです。

そこでおすすめなのが「実際にデバイスとiOSアプリがBluetooth通信している様子を動画に撮り、デモ動画として提出する」という方法です。

審査では、アプリに関する資料としてpdf,zip,mp4などの様々な形式のファイルを一緒に提出することができます。実際にBluetooth通信する様子を動画で見せれば「こういうデバイスと通信して、こういう動きをするアプリですよ」というのが一目瞭然です。

LINBLE Keyboardの審査時に提出したデモ動画

LINBLE Keyboardの申請時には下記の動画を提出しました。

撮影にはiPhoneを使用し、動画の編集はフリーの動画編集ソフト AviUtlを使いました。

審査はApple本社で行われるため、英語と日本語の字幕を入れました。日本語で字幕を作成した後、DeepL翻訳で英語に変換しています(変換後に自力で修正している箇所もあります)。

撮影で気をつけたことは「LINBLEがどういうものか簡単に説明を入れること」「LINBLEがしっかり映りこんでいること」の2点です。

また、メモにはLINBLEのユーザーマニュアルのURLを記載しました。

アプリの内容やデバイスによってはどうしても郵送が必要になる可能性はありますが、少なくともこれまでの経験では、デモ動画を提出して「情報不足」でリジェクトされたことはありません(ERiはこれまで動画の提出のみで審査を通過しているとのことでした)。

Bluetoothを使ったアプリ審査時には、一緒にデモ動画を提出することをおすすめします。

結果と審査にかかった時間

実際にLINBLE Keyboardを審査に出した結果、LINBLE Keyboardは一発で通過となりました!!

審査に提出後は一旦「審査待ち」のステータスになり、その後「審査中」→「審査終了」と進みます。

目安として、ステータスごとにかかった時間を書いておきます。このステータスが変わるごとに、メールでお知らせが来ます。

  • 審査待ち → 審査中: 約4時間20分
  • 審査中 → 審査終了: 約2時間

今回、提出から終了までかかった時間は6時間ほどで、かなりスムーズに審査が進んでいる印象を受けました。「審査開始」までの時間が4時間となっていますが、昔は審査開始までに1週間かかっていたそうです。それが理由でiOSアプリのリリースは面倒くさい印象を持っている方も多いと思いますが、最近はかなり改善されているようです。

また、審査は営業日のみ行われるようですので、現地時間で月〜水に申請するのもポイントになるかもしれません。

審査終了後、LINBLE Keyboardが無事App Storeに公開されていることが確認できました。

編集後記

初めてだらけの事が多かったですが、その分たくさんのことを学ばせていただきました。

今回の企画には私のスキルアップも目的に含まれていて、企画から審査まで一通りの体験ができたことと、知見を深めるために妥協せず開発をさせていただいたことはとてもありがたいことだと思いました。おかげでアプリ開発の知識だけでなく、Bluetoothの仕様についても深く学ぶことができました。

実際にアプリを触っていただいた方からUIについて意見をもらったり、実際に開発を進めていく中で、言葉の表現一つとってもまだまだユーザーの目線に立つことができていないな、と思いました。今後の課題です。

すべての工程で、社内でたくさんの方にお手伝いいただきました。設計や評価項目の作り方で悩んだときに、すぐに相談できる環境があるのはとても大切だと思いました。

感想(ムセンコネクト清水)

今回改めて「依頼する側」の立場も経験したことによって、身をもって実感したことが2つあります。

一つは「作りたいもののイメージを開発側に共有することの難しさ」。もう一つは「作りたいもののイメージというのは曖昧なものであり、具体的ではない」ということです。

自分ではイメージを共有できていたつもりでも、開発側が作成してくれた企画書であったり、見積書であったり、デモアプリを見ると、イメージをうまく伝えられていなかったことがありました。

また、実際のアウトプットを目の当たりにすることで初めて作りたいものが具体的に固まったり、自分自身も細かなところまで考えていなかったことに気付かされたこともありました。

つまり、「作りたいもの」を「実際に作る」ためには「イメージではなく具体的に決める」必要がありますが、実際に作り始めるまではなかなか具体的に決められないものなんだなと痛感しました。

ムセンコネクトへ無線化相談やアプリ開発をご相談いただく皆さまも同じだと思います。

  • 作りたいもののイメージはあるけれど、そのイメージは具体的ではない。
  • かといって具体的に決めていこうにも、まだ案件の企画段階だから具体的に決めていくのも難しい。
  • 企画を進めるには「概算費用」を知る必要があるが、ある程度具体的に決まっていなければ見積書も作れない。だから案件が進まない。

このようなジレンマ。

だからこそ「アプリ開発というのは依頼者と開発者が一緒になって作り上げていくもの」であると、今回の企画を通じて再認識することができました。

ムセンコネクトの無線化サービスでは、いかにご相談者と一緒になってイメージを共有し、膨らませ、具体化していくか、その点を意識してお手伝いしていきたいと思います。

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