無線マイコンモジュール「TWELITE」の全てを、ムセンコネクトの仲間になったモノワイヤレスの奥村さんに教えてもらいました【インタビュー前編】

こんにちは、ムセンコネクトの水野です。今回は無線化講座の特別編です。
2025年10月、ムセンコネクトが所属するミッドホールディングスグループにモノワイヤレス株式会社が加わりました。モノワイヤレスが展開する独自無線マイコンモジュール『TWELITE(トワイライト)シリーズ』は、ホビーユースから業務用まで幅広いユーザーに利用されています。
そこで今回は、無線化講座をご覧いただいているエンジニアのみなさんに「無線化の選択肢」を増やしていただくため、モノワイヤレス株式会社 専務執行役員の奥村さんにTWELITEシリーズの全てを教えていただきました。
モノワイヤレス奥村さんにインタビュー

ムセンコネクト水野奥村さん、今日はよろしくお願いします。



こちらこそよろしくお願いします。



まずは改めてわたしたちミッドホールディングスグループに加わっていただきありがとうございました。
わたしはモノワイヤレスの代表でもあるのですが、今日はムセンコネクトの水野としていろいろお聞きしたいと思います(笑)。



わかりました(笑)。



わたしたちがモノワイヤレスに興味をもった最大の理由が、モノワイヤレスが展開している無線マイコンモジュール『TWELITE(トワイライト)』です。
ムセンコネクトでは『LINBLE(リンブル)』というBluetooth® LEモジュールを展開していますが、やはり全ての「無線化」シチュエーションでBluetoothが適しているわけではありません。
802.15.4独自無線モジュールである『TWELITE』が加わることによって、無線化を検討されているエンジニアの方々に、より幅広いご提案ができるようになるのがとても魅力的でした。
では早速ですが、エンジニアのみなさんに『TWELITE』を知ってもらうために、そしてわたしたち自身が『TWELITE』についての理解を深めるためにも『TWELITE』についてお聞きしていきたいと思います。
TWELITEってどんな無線モジュール?出荷量は?





まずTWELITEを一言でいうとどんな商品でしょうか?



TWELITEは、モノを無線でつなぐために最適化された小型の無線マイコンモジュールです。超低消費電力でコイン型電池での年単位の動作が可能な点や、実用的な通信距離と多数接続を両立している点が特長です。



これまでにどれくらい売れているのでしょうか?



モノワイヤレスを創業してTWELITEを立ち上げてから約10年近く経ちますが、累計では100万ユニット以上を販売しています。ありがたいことにとても多くのユーザーさんにご利用いただいています。
ユーザーがTWELITEを選ぶ理由は?





そんなに売れてるんですね。すごいです。LINBLEも負けていられないですね(笑)。
それだけ多くのユーザーにご利用いただいているということは、TWELITEには明確な強みがあるのだと思います。ユーザーがTWELITEを選ぶ理由はなんだと思いますか?



ユーザーがTWELITEを選ぶ主な理由は、他の無線モジュールと比較して際立っている「超低消費電力・長期間の安定動作」と、「導入の容易さ・開発の敷居の低さ」の2点に集約されます。



TWELITEの強みはいろいろあると思いますが、その2つに集約されると。



はい。TWELITEの最大の強みは、電力効率の高さです。これにより、電池駆動のIoTデバイスが抱える根本的な課題を解決します。
コイン型電池1個で年単位の駆動が可能ですので、電池交換の頻度を減らすことができ、メンテナンスコストと手間を大幅に削減できます。多くの場合、IoTデバイスを設置したい場所には電源がありません。TWELITEを使えば、山間部や工場内など、電池交換が困難な場所でも安心して設置・運用できます。
また、超低消費電力でありながら、長距離かつ安定した通信を実現しています。特に工場や屋外など、電波環境が厳しい場所での実績が豊富です。独自の無線技術によって多数接続にも対応しており、多くの端末が同時に存在するネットワークでも安定してデータを受信できるため、大規模なセンシングシステム構築に適しています。



省電力性や多数接続は独自無線(802.15.4)の特長が活かされていますね。



TWELITEは導入のしやすさもご好評いただいています。
無線技術や専門知識がなくてもすぐに使い始められるよう、ハードウェア・ソフトウェアの両面でサポートされています。無線通信のプロトコル(手順)やマイコン制御の知識がなくても必要な機能をすぐに実現でき、プログラミング不要でセンサーデータを無線送信可能です。
基本モジュールとなる表面実装(SMD)タイプだけではなく、手で扱いやすいDIP型基板タイプやUSBに挿して使えるスティックタイプなど、用途別に豊富なラインナップを用意していますので、試作から量産までスムーズな製品化をサポートしています。



省電力性や使いやすさ以外にもセールスポイントはありますか?



そうですね。そのほかにも、開発ツールやドキュメントを充実させているので「学習コストが低くて開発期間の短縮が可能」な点や、「Made in Japanの信頼性(注:半導体は海外製)」「長期安定供給性」なども評価していただいています。
以上のような理由から、「とにかく電池で長く動かしたい」「無線化の専門家ではないが、すぐにシステムを構築したい」と考えるユーザーにとって、TWELITEは最適な選択肢となっています。



ご説明ありがとうございます。やはり改めてTWELITEの良さを知ると、たくさんのユーザーさんにご利用いただけているのも納得ですね。
実際にはどんなユーザーが使っている?



TWELITEの強みを伺ったところで、実際にはどんなユーザーがTWELITEを利用しているのでしょうか?



TWELITEは、ホビー用途から産業用途、大手企業から中小企業まで、非常に幅広いユーザーに利用されています。
まず産業でいうと、工場の稼働状況監視、屋内位置把握、油圧シリンダの遠隔監視、製造ラインモニタリングなど、IoT/M2M用途のセンシングやデータ送信に活用されています。
公共分野やインフラ関係では、気象庁の火山観測(山頂からのデータ無線送信)、工事現場の保安製品(緊急避難信号送受信システム)、防波堤の夜間標識制御など、電源確保が難しい屋外や特殊な環境での利用実績があります。
ホビーや教育関連では、無線機能を使った物作りの試作や学習用途、そのほかにも徘徊検知システムや緊急通報システムといった介護・見守りサービスにも導入されています。
珍しいところでは、ファッションショーでのモデルの動きをセンシングするようなイベント演出にも使われています。



なるほど。本当に幅広い用途で使われていますね。
ここまでお話を伺ってきて、TWELITEには明確な強みがあって、ユーザーの用途も多岐に渡ることがわかりました。
とはいえ「無線規格」が万能ではないことはわたしたちもそうですし、エンジニアのみなさんもよくご存知だと思います。
逆にTWELITEが適さないシチュエーションやウィークポイントを教えてください。



TWELITEは省電力と長距離通信を優先した通信方式を採用しているため、高速・大容量のデータ転送には向いていません。TWELITEが推奨するデータサイズは1パケットあたり数十バイト程度であり、センサーデータの送信といった小容量通信に特化しています。
また、多数接続は可能ですが、接続台数が非常に多くなり、かつ高頻度で通信を行うと、パケットの衝突や受信率の低下により、実効的な通信性能が低下する可能性があります。スループットの限界があるので注意が必要です。
それとTWELITEは独自無線規格ですので、パソコンやタブレット類と通信させるときには専用ドングルが必要になります。そこはBluetoothと違う点ですね。



最後の部分はムセンコネクトのLINBLE(Bluetooth)が得意とするところです。
TWELITEにも当然ウィークポイントがあるということで、そこはLINBLEとうまく使い分けしてもらえるとありがたいですね(笑)。



そうですね(笑)。

