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【サルでもわかるBLE入門】(3) BLEビーコンの基礎

こんにちは。ムセンコネクト三浦です。

今回も「サルでもわかるBLE入門」と銘打ってお話していこうと思います。BLE初心者の方でも理解をしてもらえるように、できるだけわかりやすく解説していきます。

一応注意事項です。

わかりやすく解説する為に、BLE初心者にはあまり必要ない例外的な内容の説明は省略して説明するようにしています。厳密には正しくないことも書いている部分がありますのでご承知おきください。
(厳密な技術的内容を知りたいような方は別の解説書を参考にしてください。)

今回の内容

今回は
・BLEビーコン
について、お話します。

BLEビーコンとは?

『ビーコン』は不特定多数に向けて情報を発信する仕組みのことです。
元々、雪山で雪崩が起きた際に埋没者を探すのに利用される機器を『ビーコン』と呼んでいましたが、2013年にAppleがiBeaconを発表してから、スマートフォン向けに情報発信を行う機器のことも一般に『ビーコン』と呼ぶようになりました。

区別して呼ぶ場合は、雪山の埋没者を探すビーコンのことを『雪崩ビーコン』と呼び、スマートフォン向けのビーコンのことを『BLEビーコン』と呼びます。

ここから先は本題である『BLEビーコン』について話を進めていきます。

ビーコンシステムの一般的な構成は下記のようになっています。

①ビーコンデバイスはお店の前などに固定設置され、常に電波を発信し続けています。

②専用アプリをインストールしたスマートフォンが電波を受信し、ビーコンのID情報を取得します。

③専用アプリはビーコンのID情報に紐付いたコンテンツをクラウドから取得し、画面に表示します。

例えば、「スマートフォンを持った人がお店の前を通ったときにスマートフォンが反応。画面にクーポンを表示して、来店を促す」といったシステムを作ることができます。

ビーコンの利用シーン

BLEビーコンの最大の特徴は(BLEの特徴でもありますが)スマートフォンとの親和性が高いことです。

BLEビーコンが発表された当時はスマートフォンが普及し始めた頃でした。高機能なネットワークデバイスを誰でも持ち歩くことができる時代が到来し、新たなビジネスモデルを構築しようとIT分野が活気づいていた時でした。

O2O(Offline To Online)という言葉に代表されるように、リアルな店舗とWeb上のサービスをつなげるデバイスとしてビーコンを活用することが注目されました。

ビーコンの代表的な利用シーンを挙げます。

  • 屋内位置測位
  • クーポン発行
  • 観光案内
  • デジタルスタンプラリー
  • 美術館・博物館での展示物案内

他にも以下のような場合にも利用されています。

  • 来店ポイント
  • 災害時の避難誘導支援
  • 学校での出席確認
  • 作業者の行動分析
  • 空港や駅でのナビゲーション

最近では新型コロナの濃厚接触者確認アプリにもビーコンの技術が利用されています。

ビーコンの仕組み

ビーコンはBLEのアドバタイズの仕組みを利用します。

アドバタイズは、ペリフェラル機器が「僕はここにいるよ」ということを伝える為の無線信号でした。アドバタイズはブロードキャスト通信なので、不特定多数のスマートフォンに同時に情報を伝えることが出来ます。

忘れてしまった方は、もう一度前回の『接続待ち(アドバタイズ)』の項目を確認してみてください。

ビーコンには個別に固有のID情報が設定されています。一般的なビーコンはこのID情報をアドバタイズ信号の中に含めて発信するため、同じ場所に複数のビーコンがあっても区別がつくようになっています。

例えば、スマートフォンがID : 001を受信したら来店ポイントを発行し、ID : 002を受信したらクーポンを発行する というような使い方ができます。

また、ビーコン毎にRSSIが取得できますので、大体の距離感を確認することができます。

例えば、お店の外でビーコンの電波を受信して来店ポイントが付与されてしまうような事を防ぐ為、スマートフォン側のアプリを工夫してRSSIが強くなった時だけ来店ポイントを付与するようにもできます。

ビーコンフォーマットの種類

現在、様々な会社がビーコンを販売していますが、利用されているビーコンフォーマットの種類は多くありません。技術的にも発信しているビーコンデータの内容の違いだけで、大枠の仕組みは同じです。

iBeacon

iBeacon(アイビーコン)はApple社が2013年に発表したビーコンの規格です。現在『BLEビーコン』といえば、iBeaconがデファクトスタンダードになっていると言っても過言ではありません。

iBeaconはiPhoneで受信しやすいように専用の仕組みがあります。アプリ開発時には専用のAPIを利用でき、ビーコンとの距離感を確認したり、ビーコンの範囲内に入ったときにアプリが反応するように設定したりすることもできます。

ビーコンの発信データのほとんどがビーコン個体を示す固有のID情報になっています。

  • UUID(16バイト)・・・そのサービスを表すサービス番号 のイメージです
  • Major(2バイト)・・・店舗を表す店番号のようなイメージです
  • Minor(2バイト)・・・その店舗内の棚を表す棚番号のようなイメージです
  • Measured Power(1バイト)・・・1m離れたところで受信されるRSSIの基準値です

黎明期に仕様が策定されたままアップデートされていない為、ビーコンの電池残量などの管理用のデータを発信できないのが残念なところです。

Eddystone

Eddystone(エディストーン)は2015年にGoogle社が発表しました。世の中の物全てにURLをつけてWEB化しようという『フィジカルウェブ』の考え方に基づいています。

Eddystoneは用途に応じて更にいくつかのフォーマットに分かれています。ビーコンのID情報を発信するEddystone-UID、URLの情報を発信するEddystone-URL、ビーコンの電池電圧などの管理情報を発信するEddystone-TLMなどがあります。

一時期、Google ChromeにEddystone受信機能がありましたが、現在は削除されているようです。iBeaconほど広まっておらず、日本で利用した事例はあまり聞きません。

LINE Beacon

LINE Beacon(ライン・ビーコン)は2016年にLINE社が発表しました。日本ではLINEの普及率が70%を超えていますので、既に大多数の人がビーコンを受信するためのアプリをインストールしているという事実は大きなアドバンテージです。

また、LINE Beaconは、セキュアな用途にも利用できるようになりすましを防ぐ為の仕組みも備えていますので、デジタルインセンティブを付与するような用途にも向いています。

非常に実用性が高いビーコンですが、オープンに利用できる規格ではなく、LINE社のコントロールの元で利用する必要があるため、大きく普及が進んでいる状況ではないようです。

その他、独自フォーマットのビーコン

その他にも独自フォーマットを利用して、URLや簡易メッセージを発信できるようにしたビーコンがあり、特定分野で利用されています。

次回もビーコンに関して少し技術よりに掘り下げて解説していきます。ビーコンを利用した位置測位についてもお話できればと思います。

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三浦 淳
この記事を書いた人
岩手県出身。高崎経済大学卒。車載、健康機器、無線通信など幅広い組込み開発を経験。2012年にスマホ向けBluetoothビーコンを世界で初めて製品化。近年では多数のIoT関連プロジェクトにおいて無線通信やデバイス開発の技術支援に従事。株式会社イーアールアイの技術部グループマネージャーを兼任。
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