【 無線化講座が「本」になりました 】ムセンコネクト著書『Bluetooth無線化講座』出版決定

Bluetooth標準プロファイルとカスタムプロファイルの違い

こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら

本テーマは動画解説をメインとしておりますが、テキストでの解説もご用意しております。
視聴が難しい方は本ページをスクロールしてご覧ください。

以前の記事でも取り上げましたが、Bluetoothのプロファイルには大きく『標準プロファイル』『カスタムプロファイル』の二種類が存在します。

今回は標準プロファイル、カスタムプロファイルそれぞれの違いやメリット/デメリットについて詳しく解説します。

目次

『標準プロファイル』と『カスタムプロファイル』とは?

Bluetooth SIGが定義し、公開したプロファイルを『標準プロファイル』と呼びます。Bluetooth SIGのワーキンググループらが、Bluetoothのイノベーションを念頭に置いて技術設計したものが標準プロファイルです。
下記は標準プロファイルの一例です。

  • 音声系のプロファイル:A2DP
  • マウスやキーボードなどの入力系プロファイル:HID、HOGP
  • デバイスのバッテリ状態を通知するプロファイル:Battery Service Profile

一方、サードパーティの開発者はBLEの標準プロファイルであるGATTのアーキテクチャを使用して独自のプロファイルを定義することが許されており、それらを総じて『カスタムプロファイル』と呼んでいます。

標準プロファイル・カスタムプロファイル、それぞれのメリット/デメリット

標準プロファイル

標準プロファイルを利用する一番のメリットは他社Bluetoothデバイスとの相互運用性(≒互換性、接続性)です。これを担保するためにBluetooth SIGでは『Bluetooth認証時のPTS試験の義務化』や『UPFによるテストイベント開催』などを用意しています。

PTS(Profile Tuning Suite)試験

自社デバイスに搭載しているBluetoothのプロファイルがBluetooth SIGの基準に適合し、正しく機能することを確認する自動テストシステム。

UPF(UnPlugFest)

様々なメーカー機種間での互換性を解決するため、Bluetooth SIGがメンバー会員のために開催しているテストイベントのこと。例えば、自社未発表のBluetooth製品を他社の製品やプロトタイプと比較して、テスト・相互運用性を向上させる機会などが設けられている。

しかしながら、標準プロファイルではなくカスタムプロファイルを採用しているメーカーも少なくありません。その理由として、標準プロファイルには以下のようなデメリットが挙げられます。

  • 開発した製品がどの標準プロファイルを利用すればよいか分かりづらい。
  • 互換性の担保・確認にコストがかかる。
  • メーカー毎の独自性が発揮しづらく、囲い込みができない。

カスタムプロファイル

カスタムプロファイルのメリットは、BLEのGATTプロファイルをベースにするため、Bluetooth SIGの規格に準拠した上で、独自デバイス向けにプロファイルを定義・実装できることです。また、カスタムプロファイルは自由度が高いことも特徴で、例えばカスタムプロファイルに、Bluetooth SIGが採用した標準サービスや自社で考案したカスタムサービスの両方を組み込んで混在させることも可能です。

一方、カスタムプロファイルのデメリットももちろんあります。

  • 自分で開発しないといけない
  • 互換性が少ない(カスタムプロファイルを公開するかどうか

カスタムプロファイルを公開するかどうかについては、メーカーのビジネス上の考え方次第です。他のサードパーティ開発者が利用できるようにカスタムプロファイルの詳細を公開する事業展開もあれば、囲い込みを優先して公開しないケースもあります。

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