【 無線化講座が「本」になりました 】ムセンコネクト著書『Bluetooth無線化講座』出版決定

【サルでもわかる】LE Audioとは?Auracastもわかりやすく解説

こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら

本テーマは動画解説をメインとしておりますが、テキストでの解説もご用意しております。
視聴が難しい方は本ページをスクロールしてご覧ください。

今回はBluetoothの新技術である『LE Audio』『Auracast』について、活用シーンや製品例なども交え、基礎的な内容を解説します。

目次

LE Audioとは?LE Audioの主な特徴は?

LE Audioは『次世代のBluetooth Audio技術』

LE Audioは、その影響範囲と今後期待される貢献度から『Bluetooth技術史上最大の仕様策定プロジェクト』と呼ばれている次世代のAudio技術です。省電力なAudio機能、且つこれまで(Bluetooth Classic)と変わらない音質が基本的な特徴です。

なぜLE Audioが登場したのか?

そもそもオーディオ分野はBluetooth最大のソリューション領域の一つです。当初のBluetoothはハンズフリー通話やワイヤレス・ヘッドセットの代名詞として頭角を現し、A2DPの登場によってBluetoothのオーディオ技術は、スマートフォン、タブレット、PC、ワイヤレス・ヘッドセットやスピーカーなどで広く採用が進みました。しかしながら、これらを実現していたBluetooth Classicのオーディオ技術では、消費電力が高い、同時接続をサポートできない、単一方向ストリーミングなどの課題や制約があったため、これらの課題を解決すべく、新たにLE Audioが誕生することとなりました。

LE Audioの主な特徴は?

Low Energy

低消費電力なオーディオストリーミングを可能にするだけでなく、シングルモードのBLEを使用したワイヤレスデータ転送も可能です。

Audio Codec

LE AudioではLC3(Low Complexity Communications Codec)と呼ばれる新しい高品質・低消費電力オーディオ・コーデックが搭載されました。これは、低データレートでも高品質を提供できるので、オーディオ品質や消費電力などの主要な製品属性間でより良い設計トレードオフを行い、ユーザー体験を満たすことが可能です。

Multi Stream

オーディオ・ソース・デバイス(送信側)とオーディオ・シンク・デバイス(受信側)との間で、複数の独立した同期オーディオストリームの伝送を可能にします。

Broadcast

オーディオ・ソース・デバイス(送信側)が無制限のオーディオ・シンク・デバイス(受信側)に対してブロードキャストすることを可能にします。(Bluetooth SIGはこの機能を『Auracastブロードキャストオーディオ』と名づけています。)

注目の機能『AuracastTM ブロードキャストオーディオ』

Bluetooth SIGは『ブロードキャスト機能』をLE Audioで最も重要な新機能と位置づけ、AuracastTM ブロードキャストオーディオとしてブランディング化しています。Bluetooth SIGでは以下のような新しい活用シーンを想定し、市場での広がりを期待しています。

ユースケース①サイレントTVスクリーン

テレビが設置されているが音声が提供されていない、あるいは音声が聞き取りにくい場での個人的なオーディオ共有が期待されています。

ユースケース②アシスタントリスニング

重要なフライト情報などを聞き逃さないようにするため、空港アナウンスを手元のスマートフォンでも受信して聞けるようになると期待されています。

ユースケース③多言語サポート

会議センターや映画館など、多言語サポートが必要とされる場所での同時通訳配信が期待されています。

ユースケース④ツアーシステム

博物館、スタジアム、コンベンション・センター、観光名所などの場所で、オーディオ・ツアー・システムとしての活用が期待されています。

LE Audio搭載の製品例と今後の展望

スマートフォン『Google Pixel 8』

Androidでは一部端末でLE Audioの利用が可能です。2024/1/31時点では、iPhoneはLE Audioに未対応です。

ヘッドセット・イヤホン『SONY WF-1000XM5』

LE Audio対応のヘッドセットやイヤホンをスマホと一緒に利用する場合は、スマホ端末側もv5.2以上、かつ、LE Audioに対応している必要があります。

スマートホームデバイス『SHARP AN-SS3』

TVと一緒に利用する場合は、先述のイヤホン同様、TV端末側もLE Audioに対応させる必要があります。本製品の場合は専用送信機(USBドングル)が用意されています。

補聴器『Panasonic R5 Series』

補聴器市場はLE Audioが期待されている領域の一つです。例えば難聴の人とそうでない人の2人が同じテレビを見る際、LE Audio対応の補聴器を利用することによってそれぞれの人に合わせた音声を聞くことができます。

今後の展望

LE Audioが幅広いユースケースで利用できるようになるためには、LE Audio対応のハードウェアが市場に普及する必要があるものの、Bluetooth SIGが推す新技術の登場は、今後5年から10年の間にBluetoothオーディオのユーザー体験を一変させる可能性があります。また、新しいAuracast™のユースケースによって、Bluetooth®オーディオの人気と普及がさらに高まることが期待できます。

よろしければシェアをお願いします
目次