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実際に経験しないとわからない、BluetoothSIGメンバー登録・EPL登録のワンポイントメモ

こんにちは、ムセンコネクトCMO、兼 無線化.comカスタマーサポート担当の清水です。
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今回はきっとメーカーエンジニアでもわからない方が多いであろうBluetoothSIGのメンバー登録とEPL登録に関するお話です。

体験してみないとわからない、いろいろイレギュラーが起きる

Bluetooth製品を開発、販売する上で避けては通れないのがEPL登録です。そしてEPL登録するためには、まずBluetoothSIGのメンバーになる必要があります。

多くのメーカーエンジニアにとってはあまり馴染みがなく、「何をすれば良いのかわからない」といった感じで未知の分野ではないかと思います。私はこれまで代行業務を通じて、度々メンバー登録とEPL登録を行ってきましたが、そんな私でも実際に体験してみないとわからないことや、作業を行う度に様々なイレギュラーが起きました。今回は少しでもメーカーエンジニアのお役に立てればと思い、私がこれまで得てきた知識や実体験をワンポイントメモとして共有したいと思います。

(*なぜ登録方法そのものの解説ではないのか?については後述します。)

登録方法やルール、BluetoothSIGウェブサイトの登録画面がコロコロ変わる

一番難点なのがこれです。メンバー登録、EPL登録の手順、認証ルール、BluetoothSIGのウェブサイト画面(構成やデザイン)は変わってしまうことがあります。これまでの経験上、変更の程度は大小さまざまですが、変更されるたびに新しい方法を確認したり、追加された作業に対応する必要が出てきます。

以前のEPL登録画面
現在のEPL登録画面

上の画像が以前のEPL登録画面、下の画像が現在の画面です。全く違うことが一目瞭然です。また、下の画像デザインに変わってからも、軽微な部分はちょくちょく変更されています。

以前、無線化.comではメンバー登録方法、EPL登録方法の手順を紹介していましたが、最新情報への更新が難しかったのはこれが理由です。コロコロ変わってしまうのでキリがないのと、記事の信頼性を担保するのが難しくなってしまったため、「EPL登録代行」という形でサポートする方針に切り替えたという経緯があります。

つまり、これからお話する内容はあくまでも2019年8月現在の情報ということになります。今後また下記情報が有効では無くなってしまう可能性がありますので、参考程度の情報としてご覧ください。

メンバー登録時に登記簿謄本のコピーが必要


2016年頃からBluetoothSIGへのメンバー登録申請時に、登記簿謄本の提出が必要になりました(2016年以前は不要でした)。
SIGのメンバー登録フォームから電子データ形式(PDFなど)でアップロードします。

後述するように、登記簿謄本の内容はSIG側でしっかりチェックされますので、形式上とりあえず提出すればOKという感じではありません。

メンバー登録申請者は登記簿謄本に記載のある役員でなければならない

メンバー登録申請時には「申請者」の情報を入力する必要がありますが、この申請者は登記簿謄本に記載のある「役員」でなければなりません。もし申請者が役員として記載がない場合、役員からメンバー申請を委託されたという証明書類の提出を求められます。つまり非常に面倒なのです。

体験談

私が代行したお客様で、実際にこのケースがありました。当初は技術担当者が申請者として申請していましたが、証明書類を用意する方が面倒ということで、申請者を役員の方に変更して再申請を行いました。結果的には無事メンバーになることができましたが、システム上は2重に申請されている扱いになってしまったため、直接SIGに問い合わせをして申請の記録を削除してもらう必要があったり、かなり面倒だったのを覚えています。

このように、登記簿謄本の内容はしっかりSIG側がチェックしています。Webフォームから入力した会社名と登記簿謄本内の会社名が一致しないということで申請エラーを喰らったこともありました。お気をつけください。

メンバー登録済みか否かはメールアドレスで判断される。ドメインが重要!

メンバー申請時にはメールアドレスを入力しますが、SIGのシステム上、申請した会社がメンバー登録済みか否かはメールアドレスのドメインで判断しているようです。既にメンバー登録済みだった場合、下記画像のように「あなたは◯◯◯社の社員ではないですか?」という確認ダイアログが表示されます。

体験談

過去にあった実例として、自社がメンバー登録済みであることを知らずに代行を依頼され、実際にメンバー登録しようとしたら既に登録済みだったというケースがありました。それ以降、「担当者が把握していないだけ」というケースがあり得るということで、代行のヒアリング時には必ずメンバー登録済みかどうかを確認するようにしています。

ドメインの所有権が確認できない場合、証拠書類の提出を求められる

前述のように、BluetoothSIGはメンバー登録済みか否かをドメインで判断しているため、申請されたドメイン(メールアドレス)が、ちゃんと申請者のものかどうかを確認しています。

体験談

過去2回あった実例として、SIGが「whois」情報でドメインの所有権を確認できなかったとして、証明書類を要求されたことがあります。(ドメイン購入時の請求書など)

同じドメインのメールアドレスは同一会社とみなされる

大きなグループ会社の場合、親会社や子会社、関連会社が同一のメールアドレスドメインを使用していることがありますが、この場合、BluetoothSIG的には全て同一の会社としてみなされます。これも実例としてありました。

体験談

ある会社がメンバー登録を行おうとしたところ、前述のように「あなたは◯◯◯社の社員ではないですか?」と表示されてしまったことがあります。その◯◯◯社というのは申請者の親会社で、親会社は既にBluetoothSIGのメンバーだったので、申請者も「既にメンバー登録済みの親会社の社員ですよね?」と判断されてしまったわけです。

なお、BluetoothSIGのシステム上、親会社と子会社を別法人として登録するためには、さらに書類の提出や追加手続きが必要になるようです。ちなみに私も追加手続きについてはまだ経験がありません。

メインメールアドレスは原則変更不可。複数名が受信できる専用メールアドレスで登録するのが無難

メンバー登録申請時には、メインメールアドレスの他にバックアップメールアドレスを指定することができますが、メインメールアドレスは原則変更することができません(バックアップメールアドレスは容易に変更可)。

体験談

あるメンバー登録済みのお客様から「メインメールアドレスを変更したい」と相談を受けたことがあります。変更方法を調べたところ、システマチックに変更することはできず、BluetoothSIGに直接変更の問い合わせをしなくてはならないことがわかりました。そのお客様は英語でのやり取りが苦手ということで、弊社の方でメール英文を作成したり、SIGからのメールを和訳したり、結構大変なやり取りをしました。結果的にメールアドレスを変更することができたのですが、それ以来、「メインメールアドレスは複数名が受信できる専用メールアドレスを用意した方が良い」とアドバイスしています。

下手に担当者の個人メールアドレスで登録してしまうと、担当者が変わったり、退職してメールアドレスが削除されてしまった場合の影響が大きいです。メインメールアドレスには稀にSIGからの重要な案内も届きますので、見落としは禁物です。そういう意味でもメーリングリストのような複数名が受信できる専用メールアドレスで登録するのが望ましいと思います。

支払いはUSドル建。支払い方法はインボイスかクレジットカード


EPL登録時には申告IDの購入が必要です。支払いはUSドル建で、支払い方法はインボイス(海外送金)か、クレジットカード払いです。

弊社で支払う場合は毎度クレジットカードを使用しますが、会社のクレジットカードを使うことができなかったり、海外送金が難しいという理由で、弊社に代行をご依頼いただくケースも少なくありません。

登録内容の修正は不可。登録時にその旨同意を求められる


EPL登録の内容は後から修正することができません。画像のようにその旨同意を求められます。以前は変更可能なシステムだったのですが、今はシステム的に変更不可になってしまいました。

IIPは審査がある。適用されるとは限らない

イノベーション奨励プログラム(IIP)という制度があります。

Bluetooth製品を初めて商品化するスタートアップ企業を対象に、2つまでの申告に割引が適用されます。対象となるには、年間収益が100万米ドル未満で、これまでにQDL登録、EPL登録、申告を行っていないことが条件です。
https://apps.bluetooth.com/innovation-incentive-program/index.html

通常8,000USドルの登録料が2,500USドルに割引されるということで、代行依頼時に「IIPだと2,500ドルですよね?」という感じで、自分たちは2,500ドルでいける!と決めつけてしまっているお客様がいらっしゃるのですが、このIIPというのは財務諸表などの必要書類を提出して、SIGからの承認が必要になる制度であるため、IIPが適用されるとは限りません。

体験談

実例として、あるお客様がIIPを申請したところ、SIGから不適用と返されてしまったケースがありました。「ウチは条件を満たすはずだ」ということで申請したのですが、不適用理由はわからずじまいだったそうです。

このように、IIPは申請してみないと適用されるかわからず、適用されるか否かで認証費用が大きく変わってくるため、IIPをご希望されるお客様に対しては、代行はお請けできないとご説明しております。

使用したBluetoothモジュールによってはEPL登録だけではなく、無線試験も必要となる場合がある

これは登録方法とは若干ニュアンスが異なりますが、使用したBluetoothモジュールによっては無線試験が必要になったり、複数のQDID指定が必要になるケースがあります。これはどういうことかというと、平たく言えば、もっとお金がかかったり、EPL登録自体ができないことがあるということです。

体験談

代行のお問い合わせをいただいたお客様の中には、意外とこのケースが少なくないため、まず最初に必ず使用したBluetoothモジュールを確認するようにしています。

清水 芳貴
この記事を書いた人
東京都墨田区出身。エイディシーテクノロジー株式会社に入社後、2006年からマーケティング・カスタマーサポート担当として組込用BluetoothモジュールZEALシリーズの企画、販売、サポートに従事。また、自身が「無線初心者」としてイチから学んだ知識、ノウハウをメーカーエンジニアの方々に活用してもらうため、Bluetooth導入サポートサイト「無線化.com」を運営。 今回ZEALシリーズの後継モデルを立ち上げるためムセンコネクトに参画。エイディシーテクノロジーの取締役を兼任。 家族構成:妻、長女、長男の4人暮らし。 好きなもの: よく晴れた日に昼間から飲むビール、 家族や友人が楽しそうにしている様子を写真に撮ること、 子どもたちと一緒に時間を過ごすこと。
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