【 無線化講座が「本」になりました 】ムセンコネクト著書『Bluetooth無線化講座』出版決定

無線通信の測定・解析サービスってどんなもの?利用方法や気になる費用は?

こんにちは、ムセンコネクトCMOの清水です。(プロフィール紹介はこちら

無線通信の測定・解析サービスがあるのをご存知でしょうか?開発中の無線機器において、例えば接続不良やデータ欠損などのトラブルが発生したとき、その原因調査を依頼できるサービスです。

調査は通信のやり取りを傍受し、解析を行いますが、無線通信は目に見えないため、機器間のやり取りを可視化するにはプロトコルアナライザが必要です。そこで今回は、プロトコルアナライザの代理店であり、自社で解析サービスも提供しているコーンズテクノロジー社に測定・解析サービスの概要をご紹介いただきました。

写真右からコーンズテクノロジー株式会社 溝口氏、霜多氏、ムセンコネクト水野、清水
目次

無線通信の測定・解析サービスってどんなもの?

コーンズテクノロジー株式会社 霜多氏
ムセンコネクト水野

コーンズテクノロジーの霜多さん、溝口さん、今回はよろしくお願いします。

コーンズテクノロジー霜多氏

こちらこそよろしくお願いいたします。

ムセンコネクトさんにはいつも解説記事でお世話になっておりますが、改めて弊社サービスをご紹介いただける場をいただきありがとうございます。

ムセンコネクト清水

ムセンコネクトでもお客様からのご依頼で解析を承ることがあるのですが、無線化講座をご覧いただくメーカーエンジニアの方々にとってトラブル時の相談先が増えるのは良いことだと思い、このようなインタビューを企画させていただきました。

ムセンコネクト水野

コーンズテクノロジーの解析サービスについてカンタンに教えてください

コーンズテクノロジー霜多氏

カンタンに申し上げると目に見えないBluetooth通信を可視化し、中身をみていくことで繋がりやすさ向上のヒントをお伝えするサービスになります。

Bluetooth解析・測定サービス|コーンズテクノロジー

弊社はTeledyne LeCroy社の国内代理店として、20年近くBluetoothプロトコルアナライザを販売してきました。

近年はBluetooth市場の拡大により、初めてBluetoothに触れるお客様からの問合せも増えてきましたが、その一方で製品化していく中で「ペアリングが上手くいかない」や「通信途中で切断が発生しデータが途切れてしまう」などの課題が見つかっても、そもそも測定はどのような環境で行えば良いのか、Bluetooth SIGの仕様書のどこを参照すれば良いのか、などといった問題に直面されるケースも多く見受けられます。

今まで関わったことがないBluetoothという技術を一から学び、通信性能の向上を行うのは非常に骨が折れる作業です。

そこで我々が長年培ってきたノウハウを活かしてお客様の代わりに解析を行い、Bluetooth通信における課題を効率よく解決するためのサービスを正式に始めることにしました。

ムセンコネクトさんでも無線通信の解析を行っていらっしゃいますよね?

ムセンコネクト清水

はい。自社製品の開発中に解析が必要になることもありますし、お客様からのご依頼で解析することもあります。

われわれもプロトコルアナライザを使って解析することはありますが、それに特化しているわけではなく、ムセンコネクトの場合はファームウェアやアプリケーションも含めて総合的に怪しいところを探るアプローチが多いですね。

どんなことが依頼できる?解析の実例を教えてください

コーンズテクノロジー株式会社 溝口氏
ムセンコネクト水野

無線通信の不良、不具合と言ってもさまざまな現象やシチュエーションがありますので、どのようなことを解析依頼できるのかピンとこない方もいらっしゃると思います。これまでご相談を受けた不具合の内容や、実際に行った解析の実例を教えていただけますか?

コーンズテクノロジー溝口氏

よくある問合せとしては、”接続性”と呼ばれるような「接続ができない/通信が切断されてしまう」という問題です。その場合は、Bluetooth機器間のやり取りがBluetooth SIGの規格通りになっているのか、周辺環境が悪いのか確認していきます。周辺環境が悪い場合は、弊社施設のシールドルームを利用して原因調査を行うこともあります。

また、対向機や競合製品を何種類か用意して、通信性能の違いを見て欲しいという解析依頼もあります。例えば対向機がスマートフォンの場合、種類によってデータ分割の仕方やIntervalの違いなどによってパフォーマンスに影響が出てきますので、そのような測定ではどれが効率よく送れているのか比較解析させていただいてます。

そして、妨害波への耐性についてもよくお問合せいただきます。その場合は、妨害波が多い環境を用意して、妨害波を上手く避けているのか測定データから解析します。

いずれのケースでも、Bluetoothの周波数ホッピングのような無線レベルの解析からプロトコル/プロファイルといったパケット通信の中身まで解析できるのが弊社の解析サービスの大きな特長となっています。

ムセンコネクト清水

実はムセンコネクトもモニターとして本サービスを利用させてもらったことがあります。

あえて不具合がある状態のLINBLE(ムセンコネクトのBLEモジュール)を提供してサービスの流れを体験し、弊社がサービスの感想などをフィードバックするというものです。

われわれは原因を特定できていて、LINBLEの修正も終えている状態だったので、「コーンズさんは原因を特定できるのか?」という感じで、コーンズさんにとってはプレッシャーのかかる解析だったと思います(笑)。

コーンズテクノロジー溝口氏

挑戦状を受けて立ちました(笑)。

ムセンコネクト清水

解析レポートで指摘された原因はわれわれが見つけたものと同じでしたし、原因特定に至るまでのアプローチの説明も満足できるものでした。

コーンズテクノロジー溝口氏

正解が既に出ている状態での解析はプレッシャーでしたが、答えが合っていて安心しました(笑)。

解析サービスを依頼するには何が必要?

ムセンコネクト水野

実際に解析を依頼する際は、まずはお問い合わせからヒアリングという感じだと思いますが、相談する側はどのような情報を用意しておけば良いでしょうか?

コーンズテクノロジー溝口氏

根本的な課題解決に繋がるようヒヤリングをさせていただきますが、その中ではBluetoothの通信規格やバージョン、自社製品/対向機は何か、どのようなデータが送られているかなどを確認していきます。

場合によっては、測定項目を決めるために機器をお預かりして事前に実際の挙動を確認させていただくこともございます。そのため、ヒヤリングの中で分からないことがあっても、我々も一緒になって考えますので、ご安心いただければと思います。

ムセンコネクト清水

ムセンコネクトも接続不良や不具合の相談を受けることがありますが、ファーストコンタクトで得られる情報ってホント少ないことがほとんどなんですよね。例えば漠然と「通信できません」といった情報だけの場合が多いです。

一口に「通信ができない」といっても、接続ができていないのか、接続はできているけど通信データが欠けているのか、それとも接続中に意図せず切断されてしまっているのか。経験上、お客様のおっしゃる「通信できない」にはこれだけの意味を含んでいたりします。

接続できないという現象にも、機器間のやり取りの不備もあれば、単にアドバタイズができていないだけってパターンもありました。なのでファーストコンタクトで得られた情報をもとに経験則から「あたり」をつけてヒアリングをし、少しずつ解析に必要な情報を増やしていくことになります。

ちなみにコーンズさんにLINBLEの解析をしていただいたときも、どれくらいの情報量があれば解析できるのか知りたかったので、極力情報を与えずに解析を依頼しました。

そういう意味ではコーンズさんも同じだと思うのですが、まずお問い合わせさえしていただければ、こちらから必要な情報を確認していきますので、ファーストコンタクトでは情報が揃っていなくても問題ありません。

ムセンコネクト清水

原因がわからないこともある?改善のアドバイスは?

ムセンコネクト水野

解析しても原因が特定できない場合はありますか?

コーンズテクノロジー溝口氏

ヒアリングさせていただく中で、例えば明らかにBluetoothの問題ではないようなものですと、わかった時点でお客様にはお伝えいたします。

また、あるスマホとの接続で発生している問題などがあれば、他のスマホでは発生するかといった点を確認させていただきながら、原因を特定可能な測定ができるようにお話をさせていただきます。

今のところ、ムセンコネクトさんからの挑戦状も含めて、原因特定率は名探偵コナンにも負けていないと思います(笑)。

ムセンコネクト水野

解析結果を踏まえて、具体的な改善のアドバイスはもらえますか?

コーンズテクノロジー溝口氏

例えば原因がBluetoothの規格に関するものであれば、規格のどの部分で問題があったのかということを規格を引用しながら、解析レポートにまとめさせていただきます。

無線通信は目にみえないので犯人捜しが難しいですが、このような確固たる”証拠”を使っていただくことで早期問題解決に繋がります。

原因が特定できたものの具体的にどのように修正すれば良いかわからなかったり、自社での修正は難しそうというお客様に対しては、ムセンコネクトさんのように経験豊富な開発ベンダーさんをご紹介するケースもございます。

気になる費用は?期間は?

ムセンコネクト水野
ムセンコネクト水野

このインタビューをご覧いただいているみなさんがいちばん気になっているのは費用面だと思います。費用はどれくらいかかるのでしょうか?

コーンズテクノロジー霜多氏

測定内容にもよるため、都度お見積りとさせていただいております。

ムセンコネクト清水

BtoBのサービスにはよくありがちですよね。ただ、ケースバイケースとなるので都度見積りとなってしまうのはわかるのですが、やはりコスト感がわからないと気軽に相談しづらいと思います。

最低価格やモデルケースなど、コスト感がわかるような参考価格はありますか?

コーンズテクノロジー霜多氏

現在、当サービスでは以下3つのラインナップを用意しております。

① 測定立ち会いサービス ※デモ機の貸出もいたします
② 解析サービス
③ ①と②を合わせた測定~解析まで行うサービス

特に多いケースとしては③になり、測定(半日)+解析(2日間)で40万円~でご提供しております。ただこちらのケースに限らず、ご予算感を踏まえながら最適な対応方法、及び価格をご提示いたします。

ムセンコネクト水野

解析を依頼してからレポート提出までどれくらいの期間が必要でしょうか?

コーンズテクノロジー霜多氏

急ぎであれば1週間ほどで対応させていただくこともございますが、内容次第では1ヶ月ほど必要となります。こちらもお客様のご希望をお伺いし調整いたします。

無線通信に関するトラブル解決をサポートします!

ムセンコネクト水野

最後に、無線化講座をご覧いただいているエンジニアのみなさんにコメントをお願いします。

コーンズテクノロジー霜多氏

当サービスを本格的に開始し、約1年経ちますが、Bluetooth通信に関してさまざまなお悩みを抱えているエンジニア様がたくさんいらっしゃることを知りました。

もし皆様の中でも悩んでいることがありましたら小さなことでも結構ですので、まずはお気軽に弊社までご連絡ください!

コーンズテクノロジー溝口氏

昨今、Bluetoothはスマホにはほぼ100%搭載されており、スマホを中心として様々な形で利用されていますが、その中身について理解を深めることでより良い製品開発に繋がります。

当サービスを通して皆様の製品開発に貢献できればと思いますので、ぜひ多くのエンジニア様に当サービスをご利用いただきたいです!

まとめ

今回は協力パートナーであるコーンズテクノロジー社の測定・解析サービスをご紹介しました。

ムセンコネクトの「無線化サービス」でも無線通信の調査、解析を承っておりますが、インタビュー中でもお伝えしたように、メーカーエンジニアにとって困ったときの相談先は多いに越したことはありません。

「無線通信の調査」というのはさまざまなアプローチがありますので、ムセンコネクトにご相談いただいた場合でも、ご相談内容によってはコーンズテクノロジー社をご紹介するケースもありますし、またその逆もあります。

ムセンコネクトもコーンズテクノロジー社もお客様からのご相談内容に応じて柔軟に対応しておりますので、Bluetooth通信でお困りのことがございましたら、まずはお気軽にお問い合わせください。

Bluetoothプロトコルアナライザについて

Teledyne LeCroy Frontline社※製 BluetoothプロトコルアナライザはBluetooth接続トラブル解析に役立ちます。

Teledyne LeCroy Frontline社とは?

Bluetooth規格の立ち上げ当初からBluetoothプロトコルアナライザを提供するリーディングカンパニーです。昨今は、Bluetooth、Wi-Fi、802.15.4のプロトコルアナライザに限らず、RFテスタ、LE Link Layer認証テスタも提供するほか、豊富な経験を活かした試験受託、試験アドバイザなど幅広いBluetooth試験ソリューションを数多くの企業に提供しています。

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