AIでも間違いやすいBluetooth解説【バージョン/Core Specification編】

こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら)
Bluetoothについてウェブ検索してみると、「AIによる概要」の一部に誤った解説を発見しました。そこで今回は、『AIでも間違いやすいBluetooth解説』と題して、AIの説明では誤解しやすい【バージョン/Core Specification】について専門家の視点で解説します。
Google検索結果に表示される「AIによる概要」の間違った解説
Googleで「Bluetoothバージョン」について検索してみると、AIによって以下のような概要が表示されます。

この中で「数字が大きいほど新しい機能や性能が向上」とありますが、これ、必ずしもそうとは限りません。 半分正解で半分間違いです。「AIによる概要」の中には正確ではない情報が含まれている場合があります。今回は「Bluetoothバージョン」に焦点を当てて勘違いしやすい点を解説していきます。
バージョン数字=性能向上?
繰り返しとなりますが、Bluetoothバージョンは「数字が大きいほど新しい機能や性能が向上する」とは限りません。
Bluetoothのバージョンというのは、新しい機能セットが追加された「世代番号」です。Bluetoothバージョンは数字が増えていくごとに「(規格として)機能が追加されていく」のですが、実際にBluetooth製品がその機能を搭載するかどうかは別の話です(Bluetooth規格上、マストの機能もあればオプションの機能もある)。
各バージョンで追加された主な機能は下記の通りです。
| バージョン | 主な追加機能 |
|---|---|
| 5.0 | 通信範囲拡大、速度向上 |
| 5.1 | 方向探知機能(位置情報の精度アップ) |
| 5.2 | LE Audio |
| 5.3 | 電力効率化、安定性改善 |
| 5.4 | 電子棚札向け機能(PAwR) |
| 6.0 | チャネルサウンディング |
例を挙げると、LE AudioはBluetooth 5.2から新機能としてサポートされましたが、LE Audioはオプション機能のひとつであるため、Bluetooth 5.2以降の製品でもLE Audioに非対応の製品はたくさんあります。
よってワイヤレスイヤフォンやスマートフォンなどのBluetooth製品を選ぶ際は、Bluetoothバージョン番号だけではなく「対応機能」を確認することが重要です。

3.0以前と4.0以降は互換性なし?

これも誤解を招きやすい説明です。4.0からBLE(Bluetooth Low Energy、Bluetooth LE)が追加されました。確かにこのBLEは3.0以前から存在していたBluetooth Classicと互換性がありません。そう聞くと、一見AIの解説は正しいように思えてしまいますが、正しくは「BLEとClassicは互換性がない」です。
実はBluetooth Classicは4.0で消えたわけではなく、4.0以降もそのまま残っています。つまり、Bluetooth Classicに対応した4.0の製品であれば3.0以前の製品とも問題なく通信することは可能であり、「3.0と4.0でも通信ができる」ことになります。

「3.0」と「4.0」の互換性がないわけではないので要注意
Bluetooth SMART / SMART READYロゴ

とても懐かしいロゴです。「Bluetooth SMART / SMART READY」は今から10年以上前にBluetooth SIGが提唱していたBluetoothの「規格名」ですが、今はもう使われていません。このようにAIは古い情報をそのまま拾ってしまうこともあります。

AI時代における専門家の役割

AIの要約、解説はとても便利です。ムセンコネクトでも活用しています。
ただし、AIは素早くまとめるのは得意ですが、最新の事情や正確な技術背景までを保証してくれるわけではありません。だからこそムセンコネクトのような専門家の見解や情報発信もうまく活用して、多角的な視点から正しい情報収集を行うことが重要です。
