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【サルでもわかる】Wi-SUNの特長・用途は?

こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら

本テーマは動画解説をメインとしておりますが、テキストでの解説もご用意しております。
視聴が難しい方は本ページをスクロールしてご覧ください。

今回は特別ゲストとしてシリコン・ラボの深田氏を迎え、無線規格の一つであるWi-SUNについて初歩から解説をしていただきました。

なお、テキストでは深田氏の解説をムセンコネクトが一部編集しています。あらかじめご了承ください。

目次

Wi-SUNとは?Wi-SUNの生い立ちや概要は?

水野)
Wi-SUNの歴史、現在の状況について簡単に教えてください。

深田氏)
Wi-SUNは日本発祥の無線規格で、世界中で採用が進んでいます。1億台以上のデバイスが世の中に出荷され、例えば、日本では電力スマートメーターの100%全てにWi-SUN規格が採用されています。

Wi-SUN Allianceは2011年に日本で設立され、今現在では200社以上のメンバーが加入しています。

Wi-SUNならではの機能や特長は?

水野)
Wi-SUNの機能や特長について教えてください。

深田氏)
Wi-SUNは、IPv6/6LowPANで構築されたメッシュネットワークの規格になります。『ボーダールータ』と呼ばれる親機と『ノード』と呼ばれる各子機がメッシュネットワークを形成します。

仮にボーダールータ、もしくはノードの一部に不具合が発生した場合でも、別のルートを経由してネットワークを自動で再構築できる機能が備わっています。

Wi-SUNのスペックは?その上でのメリット・デメリットは?

Wi-SUNの周波数

深田氏)
Sub-GHz帯と呼ばれている1GHz以下の周波数帯域を使用するのが特徴です。また、ヨーロッパでは868MHz、アメリカでは915MHz、日本では920MHzを使うなど、各国で微妙に周波数帯が異なるというのも特徴の一つです。

Wi-SUNの通信距離

深田氏)
Sub-GHz帯は、Wi-FiやBluetoothで使用される2.4GHz帯と比較して回り込み特性が優れています。そのため、電波到達距離は見通しの良い場所だと1km、ビルなどの障害物がある場所でも回り込んで通信するため300-500m位と言われています。さらに、Wi-SUNはホップ(メッシュネットワークの各ノードを経由)することで通信距離をさらに延ばすことが可能です。

Wi-SUNの通信速度

深田氏)
FSKと呼ばれる変調方式を使用しており、一般的には300kbps程度、日本国内では100-150kbpsのスピードで通信することが多いと思います。なお、現在、仕様策定中のWi-SUN FAN(Field Area Networkの略)1.1ではOFDM方式が採用されており、最大2.4Mbpsの高速通信が可能です。

OFDM方式は、マルチキャリア変調方式と呼ばれるもので、一般的にはWi-Fi、LTE、5Gと呼ばれる通信方式でも採用されています。

Wi-SUNの消費電力

水野)
Wi-SUNは通信距離もある程度飛ぶ、通信速度もそれなりに速いようですが、『消費電力』はどうでしょうか。

深田氏)
通信頻度にもよるため一概には規定できませんが、一般的にWi-SUNの通信方式自体は低消費電力な無線方式だと言われています。2023年春頃リリース予定のWi-SUN FAN1.1においては、『リーフノード』と呼ばれる超低消費電力モードで動作するノードがあり、低電力でネットワークに参加できるような考慮もされています。

Wi-SUNのメリット・デメリット

水野)
ここまでWi-SUNのスペックについて教えていただきましたが、それらを踏まえてWi-SUNのメリットやデメリットについても教えてください。

深田氏)
まずメリットについて解説します。
5GやLTE等などの公衆無線は約10年という運用期間が設けられているため、例えば10年後には次世代の6G等に移行していかなければならず、その都度ネットワークの再構築が必要になってしまいます。その点、自営網で構築するWi-SUNのネットワークは長期運用可能というのがメリットの一つに挙げられます。

また、LoRaやSigfox、NB-IoTのような1対Nの通信方式ではなく、メッシュネットワークを採用することで電波の届きにくい場所へのデバイス設置も可能となるため、エリアのカバー範囲(通信範囲)が広くなります。セキュリティ要件についても規定しているため、ベンダ依存性のない強固なセキュリティを提供可能な点もメリットになります。

続いて、デメリットに関しては、やはり、各国で周波数が微妙に異なるという部分が影響してきます。BluetoothやWi-Fiなどの2.4GHz帯であれば1つの基板デザインで全世界への対応が可能となりますが、Wi-SUNの場合は、仕向地によって無線回路の定数変更が必要になります。デザインを変更して各国に対応しなければならないというのがデメリットだと考えています。

Wi-SUNの導入が期待されている用途は?

水野)
Wi-SUNの導入が期待されている用途について教えてください。

深田氏)
筆頭に挙げられるのは『スマートメーター』です。

具体的には、電力・ガス・水道分野への採用が期待されています。他には『街路灯』へ採用されることで、街をメッシュネットワーク化し、それに付随したサービス提供が期待されています。例えば、パーキングメーターやゴミ回収など、バッテリーで動作させるような物が該当します。さらには、農業や環境モニタリングなどの用途でも採用が期待されています。

現にイギリスのロンドンでは、実際のサービスが運用開始されています。
街全体に12,000台のノードと、15台のボーダールータが設置されており、街路灯・スマートメーター・駐車場がWi-SUNでメッシュネットワーク化されています。

今後もこういったケースが世界各国で広がっていくと考えています。

シリコン・ラボにおけるWi-SUNへの取り組み

水野)
最後に、シリコン・ラボにおけるWi-SUNへの取り組みを教えてください。

深田氏)
今年9月に『EFR32FG25』というWi-SUN対応の無線SoCを発表しました。

『ARM® Corex®-M33』を搭載し、Flashメモリは2MB、RAMメモリは512KBと豊富なメモリ容量を保有しています。対応ソフトウェアはWi-SUN FAN1.1、もしくはお客様独自の特定省電力無線に対応し、セキュリティ機能についても強固になっております。今後は次世代のスマートメーターやスマートシティ、スマート農業、スマート環境モニタリングといった分野への採用が期待されるデバイスになっています。

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