【 無線化講座が「本」になりました 】ムセンコネクト著書『Bluetooth無線化講座』出版決定

あなたはどのケース?事例で学ぶBluetooth認証の分かりやすい判断方法

こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら

本テーマは動画解説をメインとしておりますが、テキストでの解説もご用意しております。
視聴が難しい方は本ページをスクロールしてご覧ください。

最終製品を取り扱うメーカーである・なしに関わらず、Bluetooth認証に関してはその判断の仕方に悩む機会が多々あるかと思います。

実際に私もお客様からの日々のお問合せに対してご回答を差し上げておりますが、ふと立ち止まって関連情報を検索してみると、こういった認証判断の仕方について誰か具体的に説明している部分が少なく、お困りの方々が多いのではないか?と感じていました。

そこで今回は『分かりやすいBluetooth認証判断の仕方』として、自分が知っているノウハウを出来る限り図と事例でお伝えし、メーカーの方々は勿論のこと、世の中にBluetoothを活用した魅力的な商品を届ける業務に携わる方々にとっても役に立つ判断材料になればと思い、ご紹介してみたいと思います。

目次

【その前に】Bluetooth認証を理解するための3つの原則

原則1)認証プロセスは『設計認証』と『製品登録』の2つのプロセスで構成

私自身最初混乱したことが、Bluetooth認証取得には大きく『設計認証(Design Listing)』と『製品登録(Product Listing)』があり、それらには関係性があるということ。追って説明しますが、そこで出てくるのがQDID(認証済み設計ID)とDeclaration ID(以下、申告IDと略す)です。

今回は条件として、弊社LINBLE-Z1のように『Bluetooth認証済みのBluetoothモジュールを最終製品に組み込んだ際の話』に基本フォーカスしてみます。これは自社ブランドを販売する会社自身でQDIDを取得せずに、他メンバー(今回ならムセンコネクト)が取得したQDIDを参照する形で製品登録(ここでは最終製品登録、つまりEnd Product Listing=EPL登録、と同意で使用)ができるパターンです。またBluetoothモジュール自身が認証済みの場合は認証テストをクリアしているので、Bluetoothモジュールに変更や追加を加えないことを条件に最終製品での認証テストが省略できます。

認証までの大きな流れ

SIGメンバー登録・申請を済ませ、製品登録のために申告IDを購入・取得し、参照元(今回ならムセンコネクト)のQDIDを確認・使用して、製品情報を登録・申請になります。

原則2)『製品登録』は市場で販売する自社ブランドのBluetooth機器全てに必要

市場で販売する自社ブランドBluetooth機器は全て製品登録が必要になります。自社ブランドという部分を強調したのは、自社ブランドとして最終製品を販売するメーカーが製品登録をする必要があるという意味です。このルールはシンプルですがちゃんと理解しているだけで、この後の具体的事例の分かりやすさにつながってきます。

また、製品登録には申告IDが必要であり、その購入費(登録料)はBluetooth SIGのメンバーシップレベルによって異なります。基本は『Adopterメンバーの1つの申告ID$8,000』とお考え下さい。

  • Adopter:$8,000/申告
  • Associate:$4,000/申告

【注意】年会費や申告IDなどの費用が変わります!

2022年1月1日以降、申告IDの購入費用が20%値上がりになります。詳細はこちらでご確認ください。

原則3)参照する『QDID』によって製品登録申請の複雑さが異なる

先述した『設計認証』は「Bluetoothのソフトウェア、ハードウェア、機能がBluetooth SIGの技術要件を満たしているか?」を証明するプロセスです。弊社のLINBLE-Z1はBluetooth認証(End Product認証)済みの為、LINBLE-Z1のQDID『138552』を参照して頂ければ申請がスムーズです。このEnd Productとは、先述のBluetooth搭載の最終製品に要求される全ての要件を満たしている製品という意味です。

一方で、Bluetoothモジュールの中にも設計認証を一部分取得のものが存在するため、QDIDを参照する際には非常に注意が必要です。例えばComponent認証済みのBluetoothモジュールの場合は、End Productの要件を満たすために複数のQDIDを組み合わせたり、機能として足りない部分の認証テストが必要になる場合もあります。

一部分の認証取得Bluetoothモジュールについてはコチラでの記事でもご紹介しています。

事例で学ぶBluetooth認証の分かりやすい判断方法

ケース1)自社で作った最終製品を自社ブランドとして製品登録

End Product認証済みのBLEモジュール『LINBLE-Z1』を搭載したA社コントローラー『Rudder1』の製品登録した場合のイメージです。A社は自社ブランドである『Rudder1』のBluetooth認証を取得するために申告IDを購入し、LINBLE-Z1のQDID『138552』を参照して製品登録が可能であり、これが一番シンプルにBluetooth認証取得ができるパターンです。

ケース2)自社で作った最終製品を販売会社(代理店)が販売

原則2)の部分でもお伝えしましたが、製品登録をすべきは自社ブランドとして最終製品Bluetooth機器を販売しているA社になります。一方で、B社の販売会社(代理店)からみると『Rudder1』はA社ブランドを再販しているだけなので、B社自身は製品登録をする必要はありません。

ケース3)B社向け最終製品の製造をA社が請負、B社ブランドで販売

B社が自社ブランドとして市場に販売するのであれば、A社で登録済のコントローラー『Rudder1』を、B社ブランド『Sail1』を新規で製品登録する必要があります。その場合はBluetooth認証済みのLINBLE-Z1のQDIDをそのまま参照し、新しくB社が申告ID『D0bbbbb』を取得すればOKです。

ケース4)End Product認証済みでないBLEモジュールを使い、自社で作った最終製品を販売

Product Typeが「End Product」ではないコアモジュールを使って自社の最終製品で製品登録をする場合、モジュール、ソフトデバイス、アプリケーションを組み合わせて技術要件を満たす必要があります。その場合先述の通り、複数のQDIDを組み合わせて申請、End Productとして新たなQDIDを取得する必要があります。

世の中にはブランクモジュールといった最終製品の製造・販売側にとって魅力的な価格優位性の高いコアモジュールが販売されています。しかしながらBluetooth認証を一部分取得済みのコアモジュールの場合は、上記部分を理解しつつ製品登録を進めていなければならないことや、LINBLE-Z1に搭載されているようなアプリケーション部分に相当したファームウェアを独自で開発する必要が出てきます。

End Product と Component について理解を深めたい方にはこちらがおススメ

まとめ

具体的な4つの事例を基に解説してきましたが、Bluetooth認証に対して初心者だと思われる方は、まずは冒頭で述べた3つの原則から理解を進めてください。具体的事例はご自身の状況と事例に照らし合わせてご覧いただき、たくさんの方々の認証取得のヒントになれば幸いです。

一方で、Bluetooth SIGの認証ルールは度々改定されたり、実際にはお客様のご状況によって色々なケースが発生します。より正確な情報を得たい場合は「Bluetooth SIGに直接確認をする」または「認証の認定機関」に正式にお問合せして頂くことをおススメします。

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