【 無線化講座が「本」になりました 】ムセンコネクト著書『Bluetooth無線化講座』出版決定

【警告】多くの企業は、『Bluetooth認証未取得』で起こるリスクを甘く見ている

こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら

本テーマは動画解説をメインとしておりますが、テキストでの解説もご用意しております。
視聴が難しい方は本ページをスクロールしてご覧ください。

今回は『Bluetooth認証の未取得』をテーマにしています。これまでもBluetooth認証の重要性について無線化講座やYouTube内でお伝えしてきましたが、未だに「どうせBluetooth認証なんて取得しなくても大丈夫なんでしょ?」と軽視されているお客様が少なくないようです。

そこで本日はBluetooth認証未取得を軽く見てはいけない理由、コンプライアンス違反に対する強制エスカレーションプロセスの仕組みについて、最新情報を交えて解説します。

2023/01/31追記

2023年1月、Bluetooth SIG理事会にて認証保護制度のポリシー改定が承認され、『商標ライセンス保護制度(Trademark License Enforcement Program)』という名の新制度が適用されることになりました。本記事は2023年3月1日から適用される新制度に合わせ、内容を加筆・修正しています。

目次

認証未取得を甘く見てはいけない理由

以前の記事でもご紹介していますが、Bluetooth認証を取得していないメーカーに対して、Bluetooth SIGは本当に督促をします。

督促に対し、是正措置が取られない場合は強制措置の対象となります。ここでいう是正措置というのは『Bluetooth認証の製品登録を完了すること』になります。

Bluetooth SIGは認証未取得の製品を税関で差し押さえすることが可能です(詳細は後述)。また、Bluetooth SIGメンバーも『是正措置を取らない企業をルール違反者』としてSIG側に報告可能です。よって、もし自社が製品登録を完了しておらず、それに気づいた競合他社がいた場合、SIGにルール違反を報告され、自社がビジネス上不利な状況に陥る恐れも考えられます。

そして最悪のケースでは、SIGから制裁金が科される恐れもあります。

このように、Bluetooth認証を未取得のままビジネス展開することは、大きなリスクを抱えることになるとご理解いただけたと思います。

誤解)「Bluetoothというロゴや言葉(名前)を使用しなければBluetooth認証を取得しなくてもよい」

「Bluetoothのロゴや名称を使用しなければ、Bluetooth認証は取得しなくても良いんですよね?」

これまでにも上記のようなお問合せをたくさんいただきましたが、これは誤解です。Bluetooh SIGは

『Bluetoothロゴの使用有無に関わらず、Bluetooth技術を使用した時点でBluetooth認証が必要』

『Bluetooth認証を取得した上で、ロゴを使用するしないはメーカーの自由』
と、明確に案内しています。ロゴの使用有無に関わらずBluetooth認証は必要ですのでご注意ください。

コンプライアンス違反に対する強制エスカレーションプロセスの仕組み

2023年3月1日から適用される『商標ライセンス保護制度』を受け、以下の内容は最新情報にアップデートしています。

Bluetooth SIGではBluetooth認証を取得せず、且つ是正措置をとらないルール違反を『コンプライアンス違反』という言葉で定義し、それを解決に導く仕組みとして『強制エスカレーションプロセス』を用意しています。

この強制エスカレーションプロセスにはいくつかのワークフローイベントが設定されています。万が一、強制措置の対象となってしまった場合でも、リスクを最小限に留めるため、強制エスカレーションプロセスの仕組みを理解しておきましょう。

Day0:初期通知

コンプライアンス違反の『違反追跡システム』に登録されると、該当メンバーの主要連絡メールアドレス宛に通知メールが送信されます。

Day15:リマインダー通知1

『違反追跡システム』にコンプライアンス違反が登録されてから15日目までに改善がない場合には、Day0と同じメールアドレス宛に通知メールが再送されます。

Day30:リマインダー通知2

システム登録後30日目までに改善されない場合には、「45日目以内に解決されないとPhase 1へ進みます」という内容の警告メールが送信されます。

Day45:エスカレーション通知

コンプライアンス違反がシステムに登録されてから45日目までに改善されない場合、Phase1に移行します。Phase1に入ると、強制措置を停止するために費用回収料の支払いが要求され、費用は会員アカウントに自動的に課金されます。

Day60:リマインダー通知

コンプライアンス違反がシステムに登録されてから60日目には、「75日目以内に解決されないとPhase 2へ進みます」という内容の警告メールが送信されます。

Day75:最終エスカレーション通知

コンプライアンス違反がシステムに登録されてから75日目には、事実上の最後通告があります。最後通告後、SIGの理事会が開かれ、メンバー企業のメンバーシップ停止が承認されると停止通知が送られます。メンバーシップ停止は以下のような対象企業が該当します。

  • 初期通知(0日目)から75日以内に是正措置計画(CAP)をSIGに提出しない場合
  • SIG側がCAP承認後90日間、または、初期通知(0日目)から165日間のうち、いずれか早い日までにSIGが承認したCAPを完了しない場合

DayXX:最終通知後

コンプライアンス違反がシステムに登録されてから75日目以降も解決されずメンバーシップが停止した場合、費用回収料が増加します。費用回収料は以下のような仕組みになっています。

初回違反の場合

  • 0日目から45日目までに解決した場合:不要
  • 46日目からメンバーシップ停止までに解決した場合:$4,800 USD
  • メンバーシップ停止後までに解決した場合:$9,600 USD

重複違反の場合(前回違反通知から36カ月以内の違反)

  • 0日目から45日目までに解決した場合:$2,000 USD
  • 46日目からメンバーシップ停止までに解決した場合:$6,800 USD
  • メンバーシップ停止後までに解決した場合:$11,600 USD

Bluetooth SIGによるアメリカ合衆国税関プログラム

Bluetooth SIGは、税関登録した商標を保護すべく、長年にわたり税関当局と連携をとってきました。アメリカへの輸入品でBluetooth®の商標を一つ以上使用し、商標権侵害が疑われるBluetooth機器は、当局により税関手続きを差し止められる可能性があります。

製品通関手続きの遅延防止

通関保留を避け、輸出品を迅速に仕向け先へ届けるためには当該製品への適切な対応が重要です。遅延防止や出荷停止を防ぐ方法は以下でまとめております。

よろしければシェアをお願いします
目次