【 無線化講座が「本」になりました 】ムセンコネクト著書『Bluetooth無線化講座』出版決定

海外主要各国の電波法認証をわかりやすくポイント解説

こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら

本テーマは動画解説をメインとしておりますが、テキストでの解説もご用意しております。
視聴が難しい方は本ページをスクロールしてご覧ください。

今回はBluetooth機器のような無線機を海外展開する上で必要になってくる『電波法認証』についての動画です。「Bluetoothを搭載した機器を企画していて将来は海外への持ち出しも視野にいれているが、そもそも海外の電波法認証とはどういったものなの?」 というように、Bluetoothモジュールを搭載した製品を海外に輸出する際どういった観点で電波法に対して気をつければ良いのか?気になる方々が多いようです。

この動画では、世界各国の規制・認証制度に必要な種類の手続き全てを網羅できるわけではありませんが、そのうちの一つである『海外の電波法認証』にフォーカスしてその概要を解説しています。

目次

Bluetooth機器を輸出する際の注意点

まずは自社ブログでもお伝えしているBluetooth認証に関するおさらいになります。

  • Bluetooth機器は海外に輸出する/しないに関わらずBluetooth認証が必要
  • Bluetooth認証を取得するとWorldwideで利用可能、かつ、有効期限もなし

電波法認証について

Bluetooth認証と異なり輸出先各国で独自の電波法が存在し、ほとんどの国々で規制されている法律の位置づけです。

また、無線技術を搭載した製品を海外へ輸出する際は、『無線局』としての位置づけになるためBluetooth機器を輸出したい該当国の法律基準に適合することが必須となります。つまり、輸出当該国それぞれの電波法の認可(海外認証)を取得しなければなりません。これを取得していない場合は、電波法違反となり、罰則の対象となる恐れがあります。さらには該当国それぞれで、日本の電波法施行規則のように出力可能な電波強度の上限や使用できる周波数などが定められているため、取得費用や取得期間も様々です。
また、以下の情報は2020年5月時点での情報であり注意が必要です。

海外輸出の秘策

Bluetooth機器を海外輸出する際、一度ご検討してみることをおススメします。

その他認証について

例えば、代表的な欧州のCEマーキングは電波法ではなく安全基準に該当します。その安全基準の中で電波に関するルールが定められているため『電波法』だけを調べようとすると、必要な手続きを見落とすリスクが発生します。また、電波法や安全基準など各種ルールは適宜更新や変更が当たり前に発生するということを前提に確認が必要になります。

海外主要各国の電波法認証

本日は以下の輸出国についてそれぞれポイントを絞ってお伝えしていきます。

輸出国分類国管轄当局・機関
(適合規格)
有効期限ポイント
中国現地試験必要国SRRC
(CCC認証)
新規5年
更新5年
以前は新規5年更新3年計8年間の認証⇒新規取り直し
制度変更後更新申請を何回でも繰り返すことが可能
韓国現地試験必要国RRA
(KCマーク)
なし日本の電波法試験に近い
アメリカ
カナダ
現地試験必要国FCC・ISED
(FCC認証)
なしアメリカ、カナダそれぞれで認証取得が必要
認証用名義の会社登録のルールが国によって異なる
EU
EFTA加盟国
(約30ヵ国)
自己宣言国(CEマーク)なし最新規格のver.up対応が大変

中国の電波法認証

認証制度の変更について

中国は2019年に大きな認証制度の変更がありました。その背景には認証試験所の不正が横行しており、その不正防止のために制度改正になったと聞きます。しかし、認証制度の変更で利用者側には大きく2点のメリットが生まれました。

1点目は、現地の試験費用が不要※になったため、全体でかかる認証費用が安くなりました。2点目は、実質有効期限の概念がなくなり、更新をし続ければ認証が継続される形式になりました。

以前までは『新規5年、更新3年の計8年間の認証で、必要であれば新規で取り直し』という形式でしたが、2019年の制度変更後からは更新申請を何回でも繰り返すことが可能になったため、更新をし続ければ実質の有効期限というものがなくなりました。

※従来からの現地試験は必須であり、現地試験自体が不要になった訳ではないため要注意

申請時のコツ『名義登録』について

中国の電波法認証に関して、申請欄の責任者(代表取締役)は中国人を対象に登録をおすすめしております。中国人は身分を証明するための仕組みとして、それぞれ個人に発行されている識別番号が利用できます。一方で、中国人以外の方が自身の身分を証明するためにはパスポートのコピー提出が必要になってくるため、個人情報漏洩やセキュリティの観点からできるだけ避けた方が良いためです。

取得期間について

取得期間は約2-3か月程度かかります。但し、昨今新型コロナの影響で認証機関の業務が遅延気味とも伝えられているため、その時々によって確認が必要です。

韓国の電波法認証

現地試験国

韓国は現地KC試験が必要になります。また、日本の電波法認証の内容に近いと言われており、日本の電波法を取得できるような製品であれば韓国電波法も取得できるハードルは決して高くありません。但し、テストレポート流用による認証取得はできません。

認証取得のコツ『KCマーク認証済Bluetoothモジュール』

金属のRFシールド有などいくつかの条件を満たす必要がありますが、KCマーク認証済みのBluetoothモジュールを組み込んだ最終製品の場合、その最終製品における無線試験が免除になるといったメリットは発生します。もし、当初計画から韓国での無線機器販売を想定したBlutooth機器をお考えのお客様の場合、KCマーク認証済みのBluetoothモジュールをご検討されても良いと思います。

アメリカ・カナダの電波法認証

管轄機関について

アメリカの管轄機関はFCC、カナダの管轄機関はISEDと呼ばれ、どちらも日本の総務省に相当する機関になります。カナダのISEDは約5年前に名称が変更され、以前はICとして親しまれていました。

それぞれの国及びそれに該当する管轄機関が異なるため、アメリカ・カナダそれぞれで届出、電波法認証を取得する必要はありますが、試験は共通のため、一回の試験で済みます。

申請時のコツ『登録名義の会社』について

電波法認証用の申請の際、登録名義の会社についてルールがそれぞれ異なります。

アメリカFCCの場合は、日本に所在の会社でも構いません。

カナダISEDの場合は、カナダに所在の会社である必要があるため例えば、現地法人、現地代理店、現地名義貸しの代行業者を登録名義として申請する必要があります。

よって、仮に弊社ムセンコネクト(所在地:東京都港区)がアメリカ・カナダの電波法を取得しようとした場合、アメリカFCCの電波法認証は自社名義での申請は可能ですが、カナダISEDの電波法認証はムセンコネクトのカナダ支社を立ち上げて自社名義で申請するか、代理店などの他社名義で申請をする必要があります。

EMC試験も忘れずに

Bluetoothモジュールにてアメリカ/カナダの電波法認証が取得済みとなっている場合、最終製品では免除となりますが、EMCは対応が必要になるため注意が必要です。

EU・EFTA加盟国の電波法認証

自己宣言制度

EU・EFTA加盟国では『認可証不要で試験所認定も必須ではなく、認可を受ける必要は原則ないが適合確認をメーカー側が実施する』という自己宣言制度を採用しています。

必須じゃないなら自己宣言はしなくても大丈夫?

自己宣言していない商品は流通上の制約などがあり、実際ビジネスを行う上では自己宣言が不可欠なようです。

認証取得のコツ『Bluetoothモジュールのテストレポート活用』

韓国の認証取得のコツと似ていますが、Bluetoothモジュールを搭載した最終製品において、モジュール単体で実施したテストレポートがあれば、最終製品に関する認可を部分的に省略することが可能です。

テストレポートの注意点

適合試験は常に最新規格へのバージョンアップ対応が求められるため、都度テストレポートも更新が必要になります。Bluetoothに関しては1-2年の周期で更新が発生します。一度宣言すれば終わりではなく、継続的な対応が必要となるのでご注意ください。

EUでの実証実験に自己宣言は必要?

『当該製品は実証実験専用であり、CEマーキング取得するまではサービスの供与や販売はされない』旨のレター※1を同梱・出荷、実証実験現場でも表示することで基本的※2に自己宣言無しでも実証実験が認められています。

※1:定型文や専用フォームは無
※2:対象物の種類・国・地域によっては何等かの手続きが必要となる可能性も有

番外編)アジアの電波法認証

今回は番外編として簡単にお問合せが増えているアジアの電波法認証について少しだけ解説します。

台湾は、韓国の認証制度に似ています。

香港は、中国の認証制度とは別でCEまたはFCCの認証があれば自己確認で済みます。もしくは香港当局に対して任意で認証取得することも可能です。

マカオは、CEまたはFCCの認証があれば認証が不要です。

インドネシアは、グローバルでもトップクラスの最難関認証国と呼ばれています。理由は当局の書類をチェックする検証者の裁量次第で、指摘事項もバラバラといったことが原因のようです。

タイなどを含むアジア各国電波法にご興味ある方は、以下のブログでも解説しております。ぜひご覧ください。

よろしければシェアをお願いします
目次