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【セミナーレポート】Bluetooth方向検知技術のおさらいと現在に迫る

今回は2021年4月14日にInterop Tokyo 2021で開催された、Quuppa Oy社(以下、Quuppaと略す)による「Bluetooth方向検知 」のセミナーレポートをお届けします。Bluetoothに関する最新情報や各社の取り組みから、皆さまの無線化開発のヒントになれば幸いです。

「Bluetooth方向検知」機能による位置情報サービスの事業価値推進:AoAおよびAoDテクノロジーの概要

登壇したのはQuuppa 最高顧客責任者、共同創業者のFabio Belloni氏。2019年に発表されたBluetooth v5.1の追加機能の一部である「方向検知機能」について講演。

Quuppaは、2012年にノキア・リサーチセンターからスピンオフして設立された会社。冒頭ではこれまでのBluetooth位置測位技術についての説明。

続いてAoA/AoD両方式の主な機能の説明の他、実際の実装事例としてスマートビル、ホームオートメーション、アクセス制御、健康経営、経路探索他の位置情報活用サービスなどにもフォーカスをあてた内容。

従来のビーコンを使ったRSSI(電波受信強度)の近接情報では位置情報取得の精度が数m~10mの範囲に留まっていたが、方向検知のテクノロジーを活用することでより正確な位置情報を取得し、精度の高い位置検出や場所特定が可能に。

『ビーコンを使ったRSSI』についてはこちらで詳しく解説しています。ご興味ある方はこちらをご覧ください。

実際にプロアイスホッケーリーグの試合では、プレイヤーや最大時速140kmもの高速で動くパックの位置をトラッキングすることが可能。

これらの正確な位置情報を捉えることで、アプリなどを使って選手やコーチに有益な情報を届けることが実現。

到達角度(AoA)

一言でいうと「タグが送信側になり、複数のアンテナを搭載したロケーターが受信側になる」という仕組み。

送信機から送られた電波は、受信機に搭載された複数のアンテナで受信される。受信機からみた送信機の角度が正面方向ではないとき、受信機の複数のアンテナはそれぞれ異なるタイミングで信号を受信する。受信した電波の位相差をみることで正確な角度を算出することが可能。

実際の実証実験では、ロケーター(受信機)を天井に設置し、送信機となるタグをロボットの上部に装着。ロボットから得られるセンシングデータをリアルタイムでロケーター側に送ることでロボットの自律走行を実現。

他にも、資材を運ぶ台車にタグを設置し、資材が工場内のどこにあるのかリアルタイムにトラッキングすることで、『資材を探す』という無駄な工数を最大90%削減。工場内における資材管理の迅速化を実現。

また、株式会社サトーの事例では、ヒトの位置測位によって製造ラインにおける生産性を高めた実績などを報告。

出発角度(AoD)

一言でいうと「ロケーター側が複数のアンテナから電波を送信していて、受信するデバイス側はシングルアンテナで電波の位相を受信する」という仕組み。

AoAとは逆で、送信機側の複数のアンテナから発せられた電波を受信機側のシングルアンテナが受信。受信した電波の位相差を見ることで正確な角度を算出することが可能。また、受信デバイス側は例えばiPhoneやAndroid端末を使って測位ができるため、ハードウェア側の自由度が高い位置検出技術。

実際の事例としては、コンテナヤード等の広いエリアにて、コンテナそれぞれにロケーターを設置し、スマホを受信機デバイスとして使った場合、送信データ量が非常に小さければ、約300mまで位置検出が可能という実績も。

QuuppaのAoD技術

QuuppaのAoD技術は、他の通信規格と比較しても性能面やコスト面でも非常に優れていることを示す比較表を提示。

例えば位置情報サービスへの活用が期待される、2020年発売のiPad、Apple Watch、iPhone 12にも採用された『UWB』と比較しても、複数の点でQuuppaの優位性が高いとのこと。

セミナーを終えて

v5.1が登場してから約2年が経過しました。位置測位技術として期待されているBluetoothの「方向検知機能」ですが、現時点では世の中へのテクノロジー浸透度はまだまだ導入段階であり、コストも含め普及に至るまでには解決すべき課題が多いという認識です。しかしながら今回、これまで位置測位分野に長年取り組んでこられたQuuppaのこだわりやその実績というものを知ることができ、今後の位置測位分野に対して大きな期待を持つことができました。

セミナーの最後はQuuppaのパートナー企業である日本電産株式会社の紹介で幕を閉じました。もし、Quuppaについてご興味があるようでしたら、指定代理店の日本電産株式会社にお問合せしてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人
筑波大学大学院修了。AGC、ユニクロ、freeeを経て、デバイスと無線通信をひとつにするつなぎ役としてどんなメーカーでも無線化を実現できる世界をつくりたいという想いで株式会社ムセンコネクトを創業。Bluetooth SIG公認 Bluetooth®認証コンサルタント。株式会社イーアールアイの取締役を兼任。
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