【 無線化講座が「本」になりました 】ムセンコネクト著書『Bluetooth無線化講座』出版決定

いまさら聞けない、Bluetooth 5.0の基礎知識

こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら

本テーマは動画解説をメインとしておりますが、テキストでの解説もご用意しております。
視聴が難しい方は本ページをスクロールしてご覧ください。

世の中ではBluetooth Core Specification v5.0(以下、Bluetooth 5.0と略す)を搭載したIoTデバイスが話題を振りまいています。最近ではBluetooth 5.0に対応したスマートフォンやワイヤレスイヤホン、マウスなども増えてきました。

では、Bluetooth 5.0とはいったいどんな代物なのでしょうか。なぜそのような期待が集まっているのでしょうか。

ここではBluetooth 5.0の基礎知識をカンタンにご紹介したいと思います。

目次

【その前に】Bluetoothバージョンの歴史から

Bluetoothの標準規格(バージョン)は2010年頃から大きく進化しました。Bluetooth Low Energy(以下、BLEと略す)がBluetooth 4.0から登場したのをキッカケに、あらゆる電子機器にBluetoothが搭載されるようになりました。

当時のBluetooth最大の課題は『電力消費量』でした。それがBLEの登場によって充分な電力効率を提供できるようになったお陰で、スマートフォンへ急速に普及。今や全世界のiPhone・AndroidなどのスマートフォンへのBluetooth搭載率は100%になりました。また、コイン電池があれば一年以上も電力が維持できるようになったため、様々な製品作りの後押しにもなった画期的な技術として成長していきます。

そして2015年頃にBluetooth 4.2が登場。この時のポイントは『パケット長拡張によるスループット向上』と『セキュリティ向上』の2点。そして間髪入れずにその2年後の2017年にはBluetooth 5.0、2019年にはBluetooth 5.1が登場しました。本記事は現時点で市場で主流となってきたBluetooth 5.0にフォーカスしていきます。

Bluetooth 5.0の違いとは?

比較しやすいように違いを説明すると、Bluetooth 5.0は一つ前のBluetooth 4.2に対して、

  • 2倍のスループット
  • 4倍の通信範囲
  • 8倍のデータ容量

を特徴とし、「IoTデバイス向けの機能を高めることに焦点を当てている。」と言っても過言ではありません。

2倍のスループット

Bluetooth 5.0では、より高速な転送が可能な『LE 2M PHY』が追加されました。

ベストケースでのスループットのデータ例を見ると、特にパケットサイズが増えた時のスループット向上にBluetooth 4.2⇒Bluetooth 5.0による性能向上の差が感じられます。

4倍の通信範囲

Bluetooth 5.0では、誤り訂正符号付きの『LE Coded PHY』が追加されました。

これはおまけの情報にはなりますが、最大送信出力(Tx Power)が+10 ⇒ +20dBmまで向上しているのも通信範囲が伸びた要因となっています。但し、日本では電波法上+20mBmまで認められていないため、現状も+10dBmとお考え下さい。

また、リンク先はNordic社の実験結果にはなりますが、見通しが良ければ1km以上の通信距離での到達まで向上したという報告もなされています。

上述してきた通信速度・通信距離はその環境に応じて異なるため、全てに適用可能とまではいえませんが、これらの性能アップによって『より便利な、生活に溶け込んだテクノロジー』としてBluetoothへの更なる期待が高まるはずです。

8倍のデータ容量

Bluetooth 5.0では、ブロードキャストデータ容量(アドバタイズパケットのペイロードサイズ)が最大255Bytesへ拡張されました。通常のアドバタイズの仕組みとは異なり、データチャネルを利用した拡張アドバタイズという仕組みを利用しています。

Periodec Advertisingという新しいアドバタイズの仕組みが追加されています。これにより、モーションデータや音声データをブロードキャストするような用途への展開が期待されています。

2019年はDirection Findingなど新機能を備えた、『Bluetooth 5.1』に注目が集まる

以上までが、「Bluetooth 5.0がどんなもので、どのような期待が集まっているか?」という視点でカンタンにご説明しました。また、Bluetooth 5.0が普及している大きなポイントとして忘れてはいけないのは『Bluetooth Core Specificationには廃止スケジュールがある』ということ。今後のBluetooth製品開発および認証取得では、展開製品開発サイクル中に「突然、選択していたCore Specificationが廃止された。どうしよう。」とならないようにBluetoothバージョンを確認しておくことが重要です。
上記で少し触れたスケジュールについて、下記の記事で最新版を解説しておりますので参考にしてください。

LINBLE-Z1はBluetooth 5.0対応のBLEモジュール

弊社のLINBLE-Z1はNordic社のnRF52832搭載のBluetooth 5.0対応のBLEモジュールです。LINBLE-Z1ならCore Specificationの廃止スケジュールも考慮したBluetooth製品開発及び認証取得が可能です。
また、Windowsパソコンを使ってBLE通信したい方にはBluetooth 5.0 USBアダプタ「LINBLEドングル」もおすすめです。

次のCore Specification、Bluetooth 5.1への注目

先日ご報告したBleutooth SIG主催の大型イベント『Bluetooth東京セミナー2019』でも各社から盛んに発表があったBluetooth 5.1。その中でも新機能であるDirection Findingを活用した屋内測位・位置情報サービスへの展開が市場では期待されています。例えばビル全体に対してセンサーやビーコンなどを組み合わせたネットワークを支える技術として、場所案内はもちろん、備品・在庫管理、POIソリューション等の屋内位置測位と位置情報に基づいた各種サービスの実現に注目したいところです。

Bluetooth 5.1の次、低遅延伝送『LE Audio』を搭載したBluetooth 5.2

Bluetooth 5.2の注目はなんといっても『LE Audio』という機能です。Bluetooth東京セミナーでも多数報告されており、LC3と呼ばれる新しい高品質で効率的なコーデックの導入は、近年で最も多くのユーザーにインパクトを与えるテクノロジーとなりそうです。

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