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BLE通信が不安定・電池が持たない——医療スタートアップLIFESCAPES様の開発課題を1ヶ月で解決した方法【受託開発事例】

慶應義塾大学理工学部の牛場潤一教授が代表を務めるスタートアップ、株式会社LIFESCAPES(ライフスケイプス) 。同社が手掛けるのは、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI※)技術を応用した、脳卒中後の重度上肢麻痺患者の運動機能の訓練を行うリハビリテーション機器の開発・販売です 。

BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)は、脳科学とAIが融合した技術の総称

2024年に待望の医療機器認証を取得し、海外展開も本格化する中で、ムセンコネクトは次世代ヘッドフォン型デバイスのファームウェア開発・BLE通信実装・マイコン変更をご支援させていただきました。今回は、その開発プロジェクトを振り返り、LIFESCAPESの技術統括責任者(CTO)の森川様、回路担当の木村様、ヘッドフォン型デバイス開発担当の福田様の3名にお話を伺いました。聞き手はムセンコネクトの水野・三浦の2名です。

※写真右から株式会社LIFESCAPES森川氏、福田氏、木村氏、ムセンコネクト三浦、水野

目次

LIFESCAPESとは?

株式会社LIFESCAPESのロゴ

LIFESCAPESは、Brain-Machine Interface(BMI)技術を基盤としたニューロリハビリテーション医療機器の研究開発および関連サービス事業を展開する慶應義塾大学発の医療スタートアップです。脳卒中後の上肢麻痺をはじめとする中枢神経疾患領域において、革新的な治療選択肢の提供を通じたアンメット・メディカル・ニーズの解決を目指しています。

脳卒中リハビリの常識を変えるブレイン・マシン・インターフェース(BMI)とは?

インタビューに答えるLIFESCAPES森川氏(受託開発事例)

ムセンコネクト水野(以下、水野):
まずは御社の事業と商品についてご紹介いただけますでしょうか。

LIFESCAPES森川氏(以下、森川氏):
はい。私たちは「研究成果活用企業」として、慶應義塾大学 理工学部・牛場潤一研究室から生まれた会社です。牛場が代表取締役を務めていまして、会社ができたのが2018年。製品としては、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)を応用したリハビリ機器の開発、製造、販売を行っています。

LIFESCAPES様のBMIデバイスと脳波解析アプリ画面

水野:
先ほど経歴を拝見したのですが、森川さんはずっと電器メーカーにいらっしゃったんですか?

森川氏:
そうですね、大学を出てからずっと中央研究所や先端技術研究所といった研究所にずっといて、その中で脳の研究をしていました。

水野:
そこからLIFESCAPESに合流された経緯は?

森川氏:
20年近く前から脳波の研究をやっていて、脳波計のチップも作っていたんですよ。それが2009年か2010年ぐらい。その脳波計を世の中に役立てたいと「どんなアプリケーションがあるかな」と探していたところ、慶應大学さんとご縁があって「一緒にやりましょう」となりました。それが始まりです。

水野:
最初の原型は、脳波計からスタートしているんですね。

森川氏:
そうですね。私たちは脳波計を作っていて、慶應大学では脳波を活用するリハビリテーションの研究をされていて、タイミングが合って一緒にやりましょうとなり、今に至るという話です。医療機器になったのは2024年の2月で、本当に最近なんですよ。製品認証を取るのに苦労しまして。

水野:
すごい急ピッチで進んでますよね。海外展開の準備までされているとか。

森川氏:
はい。昨日(取材前日)、初出荷分をマレーシアに輸出したんですよ。

水野:
おお、おめでとうございます!

森川氏:
記念すべき第1号機がマレーシアに飛び立っていきました。今のプロダクト構成としては現在発売中の医療機関向けの「LIFESCAPES 医療用BMI(手指タイプ)」と、その簡易版として開発中なのが、ムセンコネクトさんにご支援いただいたヘッドフォン型のデバイスです。

LIFESCAPES様のBMIリハビリデバイス
LIFESCAPES様のヘッドフォン型BMIリハビリデバイスの外観

脳卒中リハビリと「代償経路の活性化」

森川氏:
少しBMIの原理のお話をしますと、脳卒中は毎年世界で1000万人ほどが発症する病気で、頭の血管が切れたり詰まったりして機能障害が生じます。医療が進歩して命が助かるケースは増えている一方で、麻痺が残る方も増えています。

本来は脳から「動かしたい」という信号が手まで届いて動くんですが、その信号が行かなくなる。そこで、脳波計と分析ソフトと装具をセットにしてループを作るんですよ。「動かしたい」と思った時に脳波で検出して機械が手を動かし、「動いた」という感覚を脳に戻す。脳に登っていく回路は残っているので、機械を経由することで「動かしたい」と「動いた」をもう一度繋ぎ直す――これを「代償経路の活性化」と呼んでいます。

水野:
実際に劇的に改善された方はいらっしゃるんですか?

森川氏:
全然手が動かない重症の方が、2週間訓練するとちょっと動くようになる例があります。「全然」から「ちょっと」に行くというのは、これまであり得ないことだったんですよ。さらに訓練を継続することで、指が広がり、肩も動くようになって。わーっと動くわけじゃないんですけど、日常生活でもう一度、麻痺していた手を使って生活できる方もおられます。

水野:
これがあると、リハビリの現場の常識も変わってきませんか?

森川氏:
変わります。入院時のリハビリ期間は3〜6ヶ月と限られているので、今までは「全然動きません」となると「動かない方は諦めてください、動く方の手で生活する訓練をしましょう」という選択になっていたんです。「重症から、ちょっと動く」に持っていけるやり方がこれまでなかった。ここを切り開いたのが我々の製品なんです。

ヘッドフォン型デバイスのコンセプト

森川氏:
ただ、現行製品は病院で使ってもらう機器で、退院した方は使えなくなってしまいます。本当はもっと訓練したい方も多いのに、病院ではないリハビリ施設では設備がない。そこで「病院の外でも使ってもらいたい」となった時に必要なのが、「簡単に使える」「持ち運びやすい」「違和感のない見た目」です。それで、ヘッドフォン型のコンセプトが出てきました。

インタビューに答えるLIFESCAPES福田氏(受託開発事例)

LIFESCAPES福田氏(以下、福田氏):
BMIを利用した訓練という新しいリハビリで、これまでできなかったことができるようになり、効果も出てきている。それをさらに多くの方に使っていただきたいというのが第一義にあります。仮に街中でつけていても「脳波計をつけている」とは思われない見た目にしたい。現行製品の場合は部品点数が多いので持ち運ぶにもキャリーケースでガラガラ運ぶような状態だったんですが、BMI訓練のコアの部分だけ最小構成にして、簡単にセットアップできて、価格も手に取りやすく、そして装着していても違和感ないデザインに。BMI訓練をいろんな施設・家庭・街中でできるように――つまりBMI訓練の民主化ですね。それを切り開く製品です。

水野:
ヘッドフォンの形にも、ちゃんと意味があるんですか?

福田氏:
あります。一つは「ヘッドフォンの形ってみんなが見慣れている」というデザイン的な理由。もう一つは重心の問題で、これ、被ってみると分かるんですけど、電池や回路をどこに置くかで首への負荷が全然違うんですよ。耳のところに大きな筐体を作って、そこに回路ブロックと電池をポンと入れることで、頭の重心の近くに重量を寄せて、長く使っても疲れにくくしています。

水野:
なるほど、そういう意味だったんですね。

LIFESCAPES様のヘッドフォン型BMIデバイスを装着した様子

商品開発においてどのような課題があったのか?

水野:
このような製品の開発をずっと続けてこられたのだと思いますが、最終的に弊社に開発をご依頼いただいた背景には、何かしらの課題があったかと思います。具体的にはどのような課題があったのでしょうか。

森川氏:
そのお話の前にわたしたちの体制のご紹介を。技術開発を統括しているのが私で、福田がヘッドフォン製品の全体担当。そして木村が回路担当です。回路と言っても、樹脂部品ではないハードウェアは全部担当という感じで、脳波計の回路や通信周りも彼が設計開発を担当しています。

インタビューに答えるLIFESCAPES木村氏(受託開発事例)

 

LIFESCAPES木村氏(以下、木村氏):
はい。御社にご依頼する前ですけれども、あるマイコンを使って試作品を作っていたんですよ。そのソフト開発と、BLE通信部分の開発がうまくできなかったんです。私の方でソフトを少し見ていたんですが、我々はBLEの知識がほとんどないのでなかなかうまくいかなかった。そこで外部にサポートしていただけないかな、というのがスタートでした。

ムセンコネクト三浦(以下、三浦):
最初はESP32(マイコン)を使われていたんですよね。

森川氏:
そうです。試作という観点で手慣れていて安いもの、ぐらいの感覚で。ESP32でも「脳波が測れるかな」というところまでは来たんですけど、いざ製品化となると、通信が不安定だったり、電池がなかなか持たなかったりで「さてさて……困ったぞ」という状況になりました。

委託候補先30社をリストアップ、最終的にムセンコネクトを選んだ決め手は?

ムセンコネクト水野

水野:
どこに頼もうか、いろんな会社を探されたんじゃないですか?

木村氏:
そうですね。まずはホームページで探しました。キーワードでいろんなところを探して、御社含めていろんな会社にお話しさせていただきました。その中でまずは「技術的に対応していただけそうなところ」、それから開発期間が非常に短かったので「レスポンスよく動いていただけそうなところ」ということで、最終的に御社にお願いしたいということになりました。

水野:
スケジュールがタイトだったんですよね。

木村氏:
そうなんです。9月末ぐらいにホームページからご連絡して、12月の初めにはEMCのプレ試験をやるから「1ヶ月ちょっとで通信のソフトを作れないか?」というスケジュール感でした。

最初に調べたのは、多分30社ぐらいです。ホームページでチェックして、対応してもらえそうなところを絞り込んで、最終的に5社ぐらいにアクセスしました。ただ、メールやホームページからアクセスすると大体断られるか、「お話を聞きます」と言ってもNDAを結ぶだけで1ヶ月かかってしまうところが多くて。「1ヶ月でソフトを作ってほしい」と言うと、ほとんどお断りでした。

御社もダメかなと思いつつ、とりあえずホームページから問い合わせてみたら、すぐにお返事をいただけたので、すぐにお話しさせていただきました。

三浦:
ESP32のままだと多分間に合わなかったんですよね。我々から「NordicのnRF54Lを使うのはどうでしょうか?」というご提案をさせていただきました。木村さんがそれを受け入れてすぐに方向転換してくださったのが大きかったですね。

木村氏:
私自身、ESP32は辞めたかったんです。技術的な課題があったのと開発環境が使いづらかったのもあって。

三浦:
そのおかげでスピードアップして対応できました。

ムセンコネクト三浦

ムセンコネクトとのファーストコンタクトの印象は?

水野:
私たちムセンコネクトとのファーストコンタクトの印象はどうでしたか?

木村氏:
一番最初、ホームページにお問い合わせしてから、お返事来たのがめちゃめちゃ早かったんですよ。たぶん数時間のうちに、いやもっと早かったかもしれない。それですぐに「打ち合わせしましょう」となったので、そこがすごく印象に残っていますね。他の会社さんだと、2〜3日返事が来ないこともザラでしたから。御社はすごくレスポンスが早くて、そこがすごく良かったです。

水野:
ホームページからお問い合わせが入ると、10名ぐらいのメンバーに一斉に通知が飛ぶんです。「お客様だ」と。そこから関係各所に「誰が担当するか」「どういう情報を展開すべきか」というやり取りがバーッと進むんで、結果的に早く返せるんですよ。

木村氏:
なるほど。その後ウェブ会議で自己紹介と相談内容をざっとお話をして。次は私が御社に直接伺ったんですよね。

三浦:
はい、初めて対面でお会いしたのがそのときですね。

ムセンコネクトのご提案は適切でしたか?

水野:
ムセンコネクトからのご提案は適切だったでしょうか?最終的な決め手にもなった部分かと思いますが、どのようなところが良かったでしょうか。

木村氏:
まずはすごいスピード感でやっていただけたところと、あとはいろんなことを提案していただいたところですね。我々は「こういうものを作りたい」とかなりざっくりな話をしていたんですが、その中で技術的にちゃんと拾っていただいて、「じゃあこういう風にしたら」とか「こういう日程だったらできる、できない」という具体的な提案をしていただいた。そしてそれを資料としても送っていただきました。そういうところが非常に良かったです。

提案資料にはスケジュールの案も記載してくれたので、自分たちもそれを見て「あ、これぐらいだったらできるんだな」とか、自分たちのスケジュールにちゃんと落とし込めるかどうかを判断できた。これが本当に大きかったですね。

三浦:
見積段階でそういう提案資料を出すところって、多くないんですか?

インタビューに答えるLIFESCAPES様(受託開発事例)

木村氏:
少ないと思いますね。弊社側も時間がないので、本当に箇条書きや口頭ベースで依頼を出すことが多くなってしまうんです。そうすると相手も口頭ベースで返してくることが多くて、後から「言った、言わない」の話になってしまう。資料で残してもらえると、そこのリスクがなくなるんですよ。

森川氏:
ホームページに問い合わせを立てる時って、その前にあれこれ悩んで課題があって、相当煮詰まってから問い合わせしているんですよ。そのときに返事がすぐ来て、提案書まで出してもらえると、「おおー」となります。提案書をいただけるところって、他にはなかったので、それだけでもだいぶアドバンテージなんですよ。

あと、こちらのざっくりした要望に対して、ブレイクダウンして「こういう意味ですよね」とおっしゃっていただけると、こちらも「あ、そうじゃなくて」と気づいたり、「それで行きましょう」となったりする。相談する側って、考えていることを全部は言えていないことの方が多いんですよ。それを解釈込みで返してもらえると、コミュニケーションがすごく進むんです。

インタビューに答えるLIFESCAPES様(受託開発事例)

開発を依頼して進めていく中で心配だったことは?

水野:
ムセンコネクトに依頼することに決めて開発を進めていく中で、懸念されていたことはありますか?

木村氏:
最初はマイコンを変えたのでちょっと大変でした。電子回路をイチから設計し直しだったので。

森川氏:
ああ、そもそも間に合うんですか、みたいな心配はありました。

木村氏:
そうですね。

森川氏:
僕らも外部の試験機関に依頼して試験をやるので期限があったんですよね。ただ、「間に合わせるためにはこういうふうに段階を切りましょう」みたいなご提案をいただいて。「外部試験をやるにはここまでできていないとダメですよね」とか。

三浦:
「EMC試験をこのタイミングでやりたい」というご要望に対して、それであれば優先順位を入れ替えて「こっちを先にやりましょう」とご提案したりもしましたね。

森川氏:
僕らは「やりたい」というお話はするんですけど、どうやって入れ替えたら間に合うのかってところまではわからないんですよね。そんな中でいろいろご提案していただいてとても助かりました。ありがとうございました。

水野: 福田さんはご懸念とかはありませんでしたか?

福田氏: 私はなかったですね。むしろ、こちらが宣言した通りに書類や物を出していけるか、私自身がレスポンスできるかという内面の不安の方が大きかったぐらいで(笑)。

むしろありがたかったのは、「ここはできる、これはできない」をちゃんと答えていただけたことですね。

医療機器としてファームウェアを仕上げる際には、要件整理→設計→実装→テスト→結合テストといった各段階でドキュメントを揃えなければいけないのですが、それを「どういう書類が必要か?」というところからムセンコネクトさんにお願いできるのか、お願いしても良いものかどうか迷っていたんです。

結局ご相談したところ、「その部分はお手伝いが難しいです。ただ、こういう書式が必要というのがあれば、ちゃんとご提出できますよ」と、すぐにお返事をいただけたので、「ここは別な手段を取らなきゃいけないんだな」と判断することができました。できないことは「できない」ときっぱりと言っていただけて、さらにそれをすぐに宣言してもらえたというのは本当に助かりました。「やってくれなかった」ではなくて「明確になった」という感覚で、すごく大事なことだったんです。そして「できる」と宣言いただいた範囲はしっかり仕上げていただいて、結果的にレポートも含めて仕上がりましたし、その部分は本当に助けていただきました。

インタビューに答えるLIFESCAPES様(受託開発事例)

Bluetooth通信部分で苦労したことは?

水野:
今回、Bluetooth通信の部分で苦労したところってありましたか?

三浦:
通信速度もそれなりに速くなければいけなかったですし、元々のESP32の仕様に合わせてNordicでどう作るか、というところで苦労はしました。元々アプリができていたので、そのアプリに合わせる形で運用しなくてはいけなかったんですよね。

水野:
さきほどの「(BMIでは)学習が大事」というお話を聞いていて、フィードバックの精度がすごく大事なんだろうなと感じたんですよ。Bluetoothで飛んだ情報を即座にインプットしないといけないから、即応性が必要なんだろうなと。

三浦:
そうですね。脳波はかなりデータ量も多いので、それを即応性良く送信するように工夫をしました。

森川氏:
ある程度のタイミングウィンドウに入っていないと訓練の効果が出ないんですよね。で、さらに通信の話で言うと「途絶しない」「中断しない」ことも重要なんです。

水野:
通信の信頼性も重要?

森川氏:
そうですね。途切れると、訓練そのものが成立しなくなってしまう。

三浦:
元々のESP32を使っていた試作機では通信が途切れたり、一回切れると再接続できなかったり、いろいろ課題があったと聞いていました。そこは我々なら安定的な通信が実現できると自信を持って対応しました。

取材の様子(ムセンコネクトとLIFESCAPES様の受託開発ミーティング)

PCソフトとファームウェアの「つなぎ」を一緒に解決

森川氏:
あとは、PC側のソフトと、ムセンコネクトさんに書いていただいたファームウェアの「つなぎ」のところですね。「ここのやり取りがうまくいかないな」というときに、ムセンコネクトさんに「うまくいかないです」と言って、PCソフト会社さんにも「うまくいかないです」と言って……その無線通信部分の原因特定がちょっと難しかったんですよね。

三浦:
無線通信は目に見えないので問題解決がなかなか難しいんですよ。Bluetoothの「エアログ」といって、空気中を飛んでいる無線通信の状況を解析する装置を我々は持っているので、「我々の方で解析しますよ」ってご提案して。

森川氏:
そうそう、「PC側のソフトをご提供いただけたらやりますよ」と言っていただいて、それも助けてもらってなんとかなりました。ありがとうございました。

三浦:
今回のお仕事以外でも他にわたしたちがお手伝いできそうなことってありますか?

森川氏:
次はBluetooth認証ですよね。

木村氏:
そうですね。

森川氏:
Bluetooth認証を取ろうと思っているのでサポートいただけると嬉しいなと思っています。

水野・三浦:
ありがとうございます、ぜひ。

三浦:
我々のグループ会社(イーアールアイ)ではメカトロも得意なので、駆動部位がある装具系のお手伝いもできるかもしれません。お気軽にお声掛けください。

今後の御社の事業展望についてお聞かせください

水野:
最後に、御社の事業展望や将来的に考えてらっしゃることをお聞かせください。

森川氏:
LIFESCAPES 医療用BMI(手指タイプ)(病院用)とヘッドフォン型(簡易用)の2系統を販売していくこと。そして海外展開ですね。昨日マレーシアに第1号機を出荷しましたが、その次の国もどんどん手続きを準備しているところで、多くの方に使ってもらうことを考えています。

木村氏:
私が以前開発していたのは、診断用のもうちょっと本格的な医療機器でした。今回のような「手軽に使えるリハビリ機器」は本当に良いなと思っていて、在宅でも使えるものとしていろんな方に届けられるのは面白い。個人的には、もっと小さく手軽に使えるものを作っていけたらと思います。

福田氏:
ヘッドフォン型の話で言うと、よく突っ込まれるところが「音、出ないの?」と(笑)。

水野:
あ、確かに。

福田氏:
今は音が出ないんですよ、形状はヘッドフォン型ですけどヘッドフォンそのものじゃないので。ただ、認知の領域に踏み込んでいくときには、音に対する反応が脳波にちゃんとあるかどうかが指標になるんです。なので将来的には音を出せるようにする展開もあり得ると思っていて、繋ぐデバイスを拡張したり、中身をオーディオ寄りに振ったり、という開発はこの後していきたいです。それが、よりエントリーモデルとしての価値を出していくことに繋がると思っています。

あとは個人的な野望なんですけど(笑)、私は元々脳の研究室にいて、「脳波でデバイスを動かせるってすごく面白い」と思っていたんです。脳波って理論上はボタンよりも速い、一番速い入力装置のはずなんです。それがいろんな人に手軽に使えるようになって、「ちょっと私、脳波でこんなことやってみた」みたいな話があちこちで散発していたら、脳波の機械で遊んでいる人としてはすごく嬉しい。そういう状況を作っていきたいですね。

水野:
素晴らしい。生活家電みたいな感覚になってきますよね、本当に身近で。

森川氏:
このヘッドフォン型をスタート地点にして、いろんな人に使ってもらって、フィードバックを集めて、いい感じのものに育てていく。それが今後の方向性です。

水野:
楽しみですね。もし上場したら絶対応援させていただきます(笑)。

森川氏・木村氏・福田氏:
あはは(笑)、ありがとうございます。

インタビューに答えるLIFESCAPES様(受託開発事例)

編集後記

慶應義塾大学発のスタートアップ、株式会社LIFESCAPES様。脳卒中で「諦めるしかない」と言われてきた重度麻痺の方々に、新しい選択肢を提供するBMIリハビリ機器を開発されています。今回ムセンコネクトは、その普及を加速するヘッドフォン型デバイスのファームウェア開発・BLE通信・医療機器申請に向けた資料作成などをご支援させていただきました。

「9月末に問い合わせ、12月初めのEMCプレ試験に間に合わせる」――医療機器開発としては類を見ないスピード感でのプロジェクトでしたが、資料ベースでのご提案から始まり、ESP32からNordic nRF54Lへの思い切ったマイコン変更、Bluetoothエアログを使った切り分け解析など、ムセンコネクトとしての技術的な引き出しを総動員して進めることができたプロジェクトでした。

LIFESCAPES様のヘッドフォン型デバイスがいよいよ市場に出ていく日に向けて、ムセンコネクトもさらに領域を広げてご支援を続けてまいります。

森川様、木村様、福田様、長時間のインタビューにご協力いただき、本当にありがとうございました。

(本記事の掲載内容は、取材当時のものです)

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