【保存版】無線通信規格7つの特徴を一覧表で比較してみました

こんにちは、ムセンコネクトCEOの水野です。(プロフィール紹介はこちら)
現在、世の中にはさまざまな無線通信規格が存在しているため、「自社製品にはどの無線通信規格を選んだらよいのか?」「無線通信規格それぞれでどんな特徴をもっているのか?」といったお問合せを受けることがあります。
そこで今回は、特に産業機器分野でよく名前の挙がる無線通信規格を取り上げ、それぞれの特徴を紹介し、後半では定量データを用いて各無線通信規格を比較解説します。
産業機器でよく使われる無線通信規格は、Bluetooth(BLE)/Wi-Fi/Thread・ZigBee/セルラー型LPWA(NB-IoT・LTE-M)/非セルラー型LPWA(Sigfox・LoRaWAN)の大きく5系統・7規格です。選定の軸は「通信距離・通信速度・消費電力・モジュールコスト」の4つ。万能な規格は存在せず、用途に応じた選定が重要です。たとえば近距離・低消費電力ならBluetooth(BLE)、大容量通信ならWi-Fi、数km以上の長距離・省電力ならLPWA系が候補になります。
主な無線通信規格とその特徴について
今回取り上げるのは産業機器分野でよく名前の挙がる以下の無線通信規格です。
- Bluetooth(BLE)
- Wi-Fi
- Thread / ZigBee
- セルラー型LPWA(NB-IoT、LTE-M)
- 非セルラー型LPWA(Sigfox、LoRaWAN)
それでは順に解説していきます。
Bluetooth(BLE)
Bluetooth(BLE)とは、2.4GHz帯で動作する低消費電力の近距離無線通信規格で、通信距離10〜300m・速度125kbps〜2Mbps。低消費電力とコストの低さが強みで、健康機器・スマート照明・位置情報システムなどに広く使われます。
2.4GHz帯ISMバンドで動作する低消費電力無線通信規格です。長年に渡り改良を重ね、現在ではさまざまなニーズに応えるため、通信範囲、通信形態において非常に高い柔軟性を実現しています。例えば、通信距離を伸ばすための方法も『Coded PHYが選択可能』であったり『Tx Power設定が容易』であったり、選択肢は一つではありません。また、通信形態においても、『キーボード・マウス』『ヘッドフォン』『カスタムデバイス』など様々な機器向けのサービス・プロファイルが用意されています。
また、Bluetoothには大きく2種類の規格が存在します。Bluetooth ClassicとBluetooth Low Energy(BLE)です。Bluetooth Classicは、ストリーミングアプリケーション、特にオーディオストリーミングで今でも広く使用されている規格です。一方、BLEはその低消費電力性を活かし、機器間のデータ通信頻度が低いアプリケーションを得意としており、スマートフォンやタブレット端末、PCなどに広く普及しています。
主な用途
- 健康機器やフィットネス機器
- スマート照明システム
- リアルタイム位置情報システム
- 屋内ナビゲーション
Wi-Fi
Wi-Fiとは、IEEE802.11規格に準拠した無線LANの商標名で、通信速度54Mbps〜1.3Gbpsと高速・大容量が強み。一方で消費電力は大きく、小型バッテリーでの長時間駆動には不向きです。大容量ファイル転送やビデオストリーミングに適します。
IEEE802.11規格に準拠した無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の商標名を指します。2.4GHzと5GHzのISMバンドで動作するのが一般的ですが、新しいバージョンでは他の周波数帯も対象としています。Wi-Fiには多くの種類があり、Wi-Fi Allianceではバージョン番号システムを採用しています。特に最新のWi-Fi 6は、より長い距離、より速いスループットでさまざまなニーズに対応できるバージョンとなっています。
- Wi-Fi 1(802.11b)
- Wi-Fi 2(802.11a)
- Wi-Fi 3(802.11g)
- Wi-Fi 4(802.11n)
- Wi-Fi 5(802.11ac)
- Wi-Fi 6(802.11ax)
Wi-Fiはデバイスがインターネットへ直接接続する手段として最も普及している無線規格である一方、低消費電力とは無縁であり、小型バッテリーで長時間稼働を要するアプリケーションやデバイスでの利用は限定的と言えます。
主な用途
- 大容量ファイルの転送
- ビデオストリーミングなどの広帯域データ転送
Thread / ZigBee
Thread / ZigBeeは、低消費電力と低データレートを特徴としています。よって、主に低消費電力を維持しながら近距離で、且つ少量データの無線通信に適しています。
主な用途
- スマートホーム空間における無線制御
- 監視アプリケーション
セルラー型LPWA(NB-IoT、LTE-M)
非セルラー型LPWA(Sigfox・LoRaWAN)とは、携帯網に依存せず長距離通信を実現する省電力規格で、通信距離は数km〜数十km。Sigfoxは超低速・超省電力、LoRaWANはオープンなネットワークプロトコルで、スマートシティや資産追跡などに使われます。
NB-IoT(Narrow Band IoT)とLTE-M(LTE Cat-M1、Long-Term Evolution for Machines)は、いずれも携帯電話ベースの無線通信規格として3GPP(スリージーピーピー、標準化プロジェクトのこと)によって開発された無線通信規格です。この二つの技術は、他の5G技術との共存を可能にすることで、長期的な5G・IoT戦略に不可欠な存在として位置づけられています。
両者の主な違いは、速度(LTE-Mの方が高い)と遅延性(LTE-Mの方が低い)です。NB-IoTは低消費電力で帯域幅を必要としないシンプルなアプリケーションに適しており、一方、LTE-Mはデータレートが高く、リアルタイム、かつ、データ欠損が許されないような厳しい環境下のアプリケーションに適しています。
主な用途
- NB-IoT:スマート農業、スマートシティ、スマートメーター
- LTE-M:物流、ヘルスケア機器、車載用アプリケーション
非セルラー型LPWA(Sigfox、LoRaWAN)
SigfoxはフランスのSigfox社が提供していましたが、現在はシンガポールのUnaBiz社が事業を引き継いで展開しています。当初運営元の拠点がヨーロッパにあったことから、Sigfoxは特にEU地域での普及が進んでいます。LoRaWANは、LoRa Allianceによって維持されているオープンな無線ネットワークプロトコルです。どちらも低消費電力でありながら、機器間の長距離通信を可能にしています。
ローラワンともロラワンとも呼ばれますが、この動画ではロラワンと呼びます
主な用途
- Sigfox:スマートシティ
- LoRaWAN:スマートメーター、スマートシティ、資産追跡
無線通信規格7つの特徴を一覧表で比較してみました
前述した無線通信規格をいくつかの項目にまとめ、比較した結果が以下の表です。なお、数値はあくまでも理論値、または、ベストケースの値になります。
| 通信距離 | 通信速度 | 消費電力 | モジュールコスト | |
|---|---|---|---|---|
| Bluetooth | 10 – 300 m | 125 kbps – 2 Mbps | 低 | 低 |
| Wi-Fi | 15 – 100 m | 54 Mbps – 1.3 Gbps | 中 | 中 |
| Thread / ZigBee | 30 – 100 m | 20 – 250 kbps | 低 | 高 |
| NB-IoT | 1 – 10 km | ≦ 200 kbps | 低 | 高 |
| LTE-M | 1- 10 km | ≦ 1 Mbps | 中 | 高 |
| Sigfox | 3 – 50 km | ≦ 100 kbps | 低 | 低 |
| LoRaWAN | 2 – 20 km | 10 – 50 kbps | 低 | 中 |
【要注意】万能な無線通信規格はない
比較表を見るとわかるように、各無線通信規格にはそれぞれ一長一短があり、全ての項目において万能な無線規格はありません。比較的バランスの取れたBluetoothであっても、あらゆる無線通信用途に適しているわけではありません。
求められる用途によって各無線通信規格の優位性は変わってきます。例えば、Threadはスマートホーム分野での利用が想定されていることから、当然スマートホーム分野での無線通信に適した技術となっています。用途に応じた無線通信規格の選定が重要です。
また、仮にBluetoothを選んだとしても、「どんなBluetoothモジュールを搭載するのか?」も重要です。比較表のデータはあくまでもBLE全般の情報であり、搭載するBluetoothモジュール次第で大きく性能やコストが変わってきてしまうからです。
よくある質問(FAQ)
- 無線通信規格にはどんな種類がありますか?
-
産業機器でよく使われるのは、Bluetooth(BLE)・Wi-Fi・Thread / ZigBee・セルラー型LPWA(NB-IoT・LTE-M)・非セルラー型LPWA(Sigfox・LoRaWAN)の5系統・7規格です。それぞれ通信距離・速度・消費電力・コストが異なり、用途に応じて使い分けます。
- 無線通信規格の比較一覧(スペック)を知りたいです。
-
代表的な7規格の理論値・ベストケースの目安は次の通りです。Bluetooth:距離10〜300m/速度125kbps〜2Mbps/低消費電力・低コスト。Wi-Fi:15〜100m/54Mbps〜1.3Gbps/中消費電力。Thread・ZigBee:30〜100m/20〜250kbps/低消費電力。NB-IoT:1〜10km/〜200kbps。LTE-M:1〜10km/〜1Mbps。Sigfox:3〜50km/〜100kbps。LoRaWAN:2〜20km/10〜50kbps。
- 用途別におすすめの無線通信規格はどれですか?
-
近距離・低消費電力でコストを抑えたいならBluetooth(BLE)、大容量・高速通信ならWi-Fi、スマートホームの機器制御ならThread / ZigBee、数km以上の長距離を省電力で結ぶならLPWA系(NB-IoT・LTE-M・Sigfox・LoRaWAN)が候補です。ただし最適解は製品の要件次第で変わるため、距離・電池寿命・データ量・コストの優先順位を整理してから選ぶことが重要です。
- IoT製品の無線通信規格は何を基準に選べばよいですか?
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「通信距離・通信速度・消費電力・モジュールコスト」の4軸で要件を整理し、最も譲れない項目から絞り込みます。万能な規格は存在しないため、用途に対する優先順位付けが選定の核心です。たとえば電池駆動で数年の稼働が必須ならまず省電力規格に絞り、その中で必要な距離・速度を満たすものを選びます。
- Bluetoothを選べば間違いないですか?
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Bluetooth(BLE)は通信距離・速度・消費電力・コストのバランスが良く汎用性が高い規格ですが、万能ではありません。さらにBluetoothを選んだ場合も、搭載するBluetoothモジュール次第で性能やコストが大きく変わります。BLE全般のスペックだけでなく、具体的なモジュール選定まで含めて検討することが重要です。
- 無線通信規格の選定に迷ったら相談できますか?
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ムセンコネクトでは、製品の要件(用途・通信距離・電池寿命・データ量・コスト)をもとに、最適な無線通信規格とモジュールの選定をご相談いただけます。これまで産業・医療・計測など幅広い分野の無線化を支援してきた実務経験から、要件整理の段階からご一緒します。
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