【無線化相談室 #1】無線化は何から始める? まず決めていただきたい3つのこと

こんにちは、ムセンコネクトCCOの伊藤です。
今回から「無線化相談室」という連載をスタートします。メーカーエンジニアのみなさんからよくいただく無線化についてのご質問に、私がお答えしていく企画です。
第1回のテーマは、よくご相談いただく「無線化したいのですが、何から手を付ければいいですか?」について、順にお話ししていきます。
無線化したいとき、まず決めるべきことは?
私がお客様に確認するのは、主に3つです。 用途、通信距離と頻度、そして電源。この3つが分かれば、どの無線通信が適しているかを検討できます。
用途
何と通信したいか、というところです。
スマートフォンとつなぎたいのか、パソコンなのか、それとも装置同士なのか。通信の相手が誰かによって、候補に挙がる無線規格が変わってきます。
通信距離や頻度
どのくらいの距離で、どのくらいのデータ量を送受信したいか、というところを確認します。
数メートルなのか、それとも工場の端から端までなのか。送るのがセンサーの数値なのか、音声や画像なのか。ここで無線通信に必要な性能が決まってきます。
電源
電池で動かしたいのか、常に電源が供給されるのか、というところを確認します。
電池で動かすとなると、省電力の設計が前提になります。後から変えるのが難しい部分なので、早めに決めておいていただきたいところです。
これら3つをお聞きした上で、「どの無線通信が良いか」というのを検討してご提案しています。なんとなくで決めるのではなく、解決したい課題やありたい姿から逆算して考えていくのが良いと思います。
ご相談を受けていて、よくある誤解はありますか?
「BLEチップやモジュールを載せて開発すれば終わり」と思われていることが多いです。 実際には、その先にやることが残っています。
まず開発そのものについてです。省電力の設計をしたり、後からファームウェアを書き換えられるようにしたりと、量産品質まで持っていく必要があります。
それだけではなく、対向のアプリも作る、もしくは既存のアプリを無線対応するというような必要も出てきます。
認証は、後で気づくと手戻りが大きくなります
さらに、電波法として技適だったり、工事設計認証の取得も必要です。採用した無線規格がBluetooth®であれば、Bluetooth®認証も必要になります。
こういった認証取得というのは、時間もコストもかかります。 ですので、後で「そういえば」と気づくと、手戻りが大きかったりします。
- 作る手順そのもの → Bluetooth機器を自社開発・販売するために必要な4つのステップ解説
- 電波法・技適の基礎 → 電波法・技適について
- Bluetooth®認証の基礎 → Bluetooth®認証(SIG認証)の基礎まとめ
- なぜ両方必要なのか → 電波法とBluetooth®認証の関係
電波は目に見えません
もうひとつ、無線ならではの難しさがあります。
電波は目に見えない分、試作ではうまくいったのにとか、特定の環境ではうまく動かない、ということもあります。
無線化のメリットはあります。ただ、魔法のような技術ではありません。そこはどうしてもトレードオフになる部分があります。だからこそ、早い段階で条件を共有していただきたいと思っています。
相談のベストタイミングは?
結論から先に言うと、早ければ早い方が良いです。
これからという企画だったり、構想の段階から、ぜひご相談いただきたいなと思います。
理由は、ご相談のタイミングが遅くなるほど手戻りの範囲が広がる恐れがあるからです。基板や筐体の設計のし直しなどが発生するとコストが増えてしまいますので、どうしても早い方が良いことになります。
企画が具体的になっていない段階だからこそ、どんな無線通信が最適かというのを、一緒に考えることが可能です。
全部決まった後だと、私たちにできるのは「その条件の中で何とかする」ことだけになってしまいます。それはもったいないと思っています。
最後に、迷っている方へ
まずはご相談ください。
先ほどの3つ、1. 用途(何と通信したいか)、2. 通信距離や頻度、そして 3. 電源、このあたりを事前に整理していただければ、一緒に考えていくことができます。
「まだふわっとしていて」とおっしゃる方が多いのですが、ふわっとした内容で構いません。
ムセンコネクトは、ふわっとした内容のご相談から、ファームウェア、エレキ、メカ、アプリの開発、量産の支援、そして各認証の取得まで、無線化を丸ごとご支援可能です。
ぜひご相談ください。
第1回のまとめ
- 無線化でまず決めるのは、用途/通信距離と頻度/電源の3つです
- 「BLEチップを載せれば終わり」ではありません。 省電力設計、ファームウェアの書き換え、量産品質、対向のアプリまでが必要になります
- 技適とBluetooth®認証は、後で気づくと手戻りが大きくなります
- 電波は目に見えません。無線化は魔法ではなく、トレードオフのある技術です
- ご相談は、企画・構想の段階が最適です
「これを聞いてほしい」というご質問がありましたら、YouTubeのコメント欄かお問い合わせフォームからお寄せください。 連載のテーマにさせていただきます。
よくある質問
- 無線化を検討するとき、最初に何を決めれば良いですか?
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用途(何と通信したいか)、通信距離と頻度、電源(電池か常時給電か)の3つです。いずれも「だいたい」で構いません。この3つが分かれば、適した無線通信の候補を絞り込めます。
- 技適とBluetooth認証は両方必要ですか?
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日本国内で電波を発するためには電波法にもとづく技適(または工事設計認証)が必要です。加えてBluetooth技術を使用する製品には、別途Bluetooth認証が必要です。異なる制度ですので、片方だけでは不十分です。
- 無線化の相談は、どのタイミングでするのが良いですか?
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企画・構想の段階が最適です。基板や筐体の設計が終わってからだと、無線通信の見直しが設計のやり直しにつながり、コストが増えてしまいます。
- 試作ではうまく動いたのに、現場で動かないのはなぜですか?
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金属による反射や遮蔽、他機器との干渉など、無線通信は使用環境に大きく左右されます。最終的な使用環境を早い段階で共有していただければ、リスクの高い条件をあらかじめ避けることが可能です。
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